海外進出が進む中、現地法人の会計経理業務に悩みを抱える日本企業が増えている。国内のようにタイムリーに情報を入手できず、経営状況が把握しにくいという。かといって、高額な大規模拠点用の基幹業務システム(ERP)を使うのは割が合わない中小拠点も多い。そんな課題をスッキリ解決してくれるのが、低価格のクラウド型ERP「multibook」。情報の“見える化”はもちろん、不正防止効果も期待できる。
月額利用料は3万円から

マルチブック 代表取締役CEO

マルチブック 取締役営業本部長
「multibook」は、「低コスト」「見える化・業務効率化」「内部統制・不正防止」の三つをコンセプトに、海外の中小規模の現地法人や駐在員事務所向けにマルチブックが自社開発したクラウド型ERPだ。
日本語・英語・タイ語・ベトナム語・韓国語・ドイツ語での画面表示、各国通貨での計上、各国会計基準での調整仕訳入力、財務諸表出力などができる。インターネット環境があれば、全世界で利用可能だ。
「同じソフトを複数の会社が共同で利用するクラウド型で、1社当たりの価格を安く抑えているのが特徴の一つです。会計をベースに、在庫管理、固定資産管理などの機能を追加していますが、ユーザー数が変わらなければ、基本的に利用料は変わりません」(村山忠昭代表取締役CEO)
月額利用料は3万円から(ユーザー数、伝票数に応じた価格設定)と、これまでのERPでは類を見ない安さだ。では実際、どのような導入効果があるのかを見ていこう。
現地法人が抱える課題の一つは、煩雑な本社への報告業務だ。通常、海外現地法人のスタッフはローカル業務ソフトに記帳し、そのサマリーをエクセルシートに入力してメールで本社に送付している。日本とは会計基準や言語、通貨が異なるからだ。
しかし、これでは手間がかかるし、ミスも起きやすくなる。売り上げ目標の未達などの原因が見えず、そもそもレポート自体が正しいかどうかも判断できない。
その点、多言語対応の「multibook」なら、海外現地法人のスタッフは現地の言語で、日本の本社は日本語で利用でき、情報共有も容易だ。海外拠点、日本本社でリアルタイムに財務諸表を参照できる。
「PL/BSといった財務諸表からオリジナルの伝票をトレース可能なドリルダウン機能を搭載し、転記された伝票の内容を本社でも確認できます。摘要も自動翻訳されるので、伝票がガラス張りになり、不正防止にもつながります」(加部芳紀取締役)。