建物に明かりを灯す電気設備工事の会社として“夜景を変える会社”を標榜する。業界では珍しく、文系学生や女子学生を積極的に採用し、独自の教育システムで短期間に“現場代理人”を育てるのが特徴。安定した受注力と不況に強い企業として、成長を続けている。
牧野 長代表取締役社長
牧野電設は、1978年に設立され、今年創立40周年を迎える電気設備工事の施工会社である。東京・埼玉・千葉・神奈川を中心に、官庁や大手ゼネコンから直接依頼を受け、電気設備工事(主に屋内配線工事)を手掛けている。
創業以来、現在までに4万世帯を超える施工実績を誇り、500戸を超える大型マンションの工事を任されることも多い。
「電気設備工事の会社は全国に2万3000社ほどありますが、当社は国の格付けである経営事項審査(経審)の上位1.6%のAランクに分類されており、売上高は年間15億〜20億円で推移、安定して実績を重ねています」。そう語るのは創業2代目の牧野長社長だ。
同社の特徴は、業界の常識を覆して文系学生や女性を積極的に採用し、独自の教育システムで現場代理人(いわゆる現場監督)を育てていることだ。
電気工事には、工事全体の運営・管理を行う現場代理人と、実際に工具を持って工事を行う電気工事士がいる。同社が担っているのは前者で、新卒は現場代理人としての採用となる。
「従来の建設現場は完全な“男性社会”で、現場で“先輩の背中を見ながら”一人前の現場監督になってゆくという世界でした」と牧野社長。同社がその方向性を転換したのは2011年。
東日本大震災後、計画停電の体験などから、「電気を通じて社会に貢献したい」という学生が増え、その中に文系出身者や女子学生が多かったことから、「電気の知識がない新卒の女性も働ける環境をつくろう」と考えたのだ。その背景には恒常的な人材不足である建設業界で、新たなマッチングを実現しようという狙いもあった。