新規事業の背景にある
三菱ガス化学の哲学
高い屈折率と低複屈折性を両立する特殊ポリカーボネート「ユピゼータ(R)EP」は、スマートフォンやタブレットのカメラレンズなどに高いシェアを誇る。2017年4月に社会に広く貢献した製品に与えられる「市村産業賞 本賞」を受賞
植物工場に話を戻そう。「まずは安定供給可能な体制を築くことに注力する」と北原主席はあくまで慎重だ。その後の展開は「生産を続けながら判断していきたい」と語る。技術ありきではなく、あくまでも顧客の課題を解決したり、新しい価値を提供することを優先したりする「マーケットイン」のものづくりは、三菱ガス化学の哲学でもある。市場が潜在的に抱えるニーズを丁寧に掘り起こしていくことで、ユーザーからの高評価につなげている。
「来年の生産開始からが、本当の勝負です。野菜の生産は弊社にとって未経験のビジネス。だからこそ、日本一の規模で生産、流通、販売を行うと、それぞれのフェーズでこれまで接点がなかった企業やお客さまからの指摘で初めて気が付くこと、見えてくるものがあると考えています。そこから得た知見をまた新しい事業へと生かしていきたいですね」(北原主席)
同工場では日産2.6トンのリーフレタスを生産する予定
一方、茅野部長は2年後には、一部門としてしっかりと利益を上げていきたいと話す。
「三菱ガス化学グループはカンパニー制を敷いています。今の新規事業開発部は、他のカンパニーの利益で研究開発を行っている状況です。オキシキャプトや植物工場のように事業化できるものを増やし、一つのカンパニーとして自立できる収益構造を築くのが目下の目標です。自分たちの利益を投資できるようになれば、リスクを取った新規事業開発にも挑戦できると考えています」(茅野部長)
そのためにはまず、工場野菜生産事業を確実に収益源の一つに成長させなければならない。来年夏に本格稼動する新しい植物工場の動向をチェックしていきたい。
問い合わせ先
三菱ガス化学
TEL:03-3283-5000
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