専門性が必要とされる
「労務リモートアウトソーシング」も提供

 総務リモートアウトソーシングと並んで、いま企業からの需要が多いのが、「労務リモートアウトソーシング」だという。入社・退職、勤怠申請などを行う労務管理は、総務に比べて仕事量は少ないが、専門知識を必要とされ、人事担当者の負荷が意外と大きな業務なのだ。NOCでは、総務と同じスキームで労務のサービスも提供している。

「最近は辞める人や中途採用が増え、入社や退社が不定期に頻繁に起きています。そのため、書類を整える作業が煩雑になっている。また人事管理システムの中で、社員の情報を常時更新し続けなければ、給与計算にも影響が出ます。専属の人を付けるほどの業務量ではないが、知識を持つ人が携わる必要がある。そこにリモートアウトソーシングを導入することで、人事の負荷が大きく減少します」(西上氏)

 これらのリモートアウトソーシングは、いろいろな可能性を秘めている。とくに親和性が高いのは、総務に人員を割けない企業だ。たとえば本社に総務機能が集中しておらず、全国に営業所や店舗を展開している企業。各々の事業所に総務担当を常駐させられないため、総務リモートアウトソーシングは非常に使い勝手がよいシステムになる。

岡崎透
NOCアウトソーシング&コンサルティング 常務執行役・本部長岡崎透
NOCアウトソーシング&コンサルティング常務執行役・本部長

 業務コンサルティング本部の岡崎透常務執行役・本部長は、その価値をこう語る。

「これからの企業は、社員がオンラインで繋がり業務を進めてゆくことになります。欧米では既に、オンラインのコミュニティで業務をこなし、一定時刻に社員が同じ場所に集まる必要のない企業が増えています。それは、総務などの管理部門でも同じこと。日本でも、あらゆる業務をリモート化するシステムが構築されれば、皆が東京に集中して住む必要がなくなり、過疎化の問題や介護の問題も解決できる。逆にそうならなければ、日本の企業は世界で戦っていけなくなる、と考えています」

 日本企業の管理部門は、大きく経理・人事・総務に分かれていて、今はステータス的に経理・人事のほうが重要というイメージがあるが、もともとは総務の業務の中で定型化され外に切り出されたのが経理・人事であり、本来は総務が管理部門の主といえる。

 また総務は、企業に降り掛かる突発的な課題や不安定な要素を、最初に呑み込んで対処して行く存在であり、企業の中では非常に先鋭的、戦略的な存在でもある。その本来の業務に集中するためにも、定型化できる業務はアウトソーシングするのが望ましい。

「企業の各部署の業務がオンライン化する中、本来戦略的であるはずの総務が、率先してその業務をリモート化することは、企業全体の業務フローを見直すトリガーにもなる。今の段階で広い視野を持ち、アナログと思われている総務の業務をIT化、リモート化することは、企業の成長にとって有意義な取り組みになるはずです」(岡崎氏)。