湘南ベルマーレ・眞鍋潔会長湘南ベルマーレ・眞鍋潔会長は、チームの運営にずっと無報酬で携わってきた Photo:Rodrigo Reyes Marin/AFLO

半年間限定の予定で再建に携わったはずが、いつしか世紀をまたぎ、この10月で20年目を迎えようとしている。親会社の撤退とともにベルマーレ平塚あらため、市民クラブの湘南ベルマーレとして再スタートを切ったのが2000年。生き残っていく策を模索した「ベルマーレ存続検討委員会」のメンバーから株式会社湘南ベルマーレの取締役、常務取締役、10年間に及ぶ代表取締役社長を経て、2014年4月からは代表取締役会長をすべて無報酬で務めてきた眞壁潔氏(56)は、RIZAPグループ株式会社の傘下に入り、新たな歴史を歩み始めたベルマーレを縁の下で支えながら、ベルマーレから羽ばたいていった選手や未来を担うホープたちを優しい眼差しで見つめている。(ノンフィクションライター 藤江直人)

17年ぶりにベルマーレから輩出した
「A代表選手」に会うため吹田スタジアムへ

 誰かと見間違えたのかと最初は思った。いるはずのない場所に、何度も取材をしてきた人物がいる。目を凝らしてみると、やはり湘南ベルマーレの眞壁潔代表取締役会長だった。パナソニックスタジアム吹田の取材エリアへと通じる、ロッカールームの出入口付近で誰かと談笑している。

 これがアウェーでのガンバ大阪戦ならば、もちろん眞壁会長もベルマーレに帯同している。しかし、コスタリカ代表との初陣を翌日の9月11日に控えた森保ジャパンの選手たちが、公式練習を終えた直後となると状況がなかなか理解できない。接点をあれこれ考え、自分なりに仮説を立ててみた。

 ベルマーレは9日夜に、セレッソ大阪とのYBCルヴァンカップの準々決勝第2戦を敵地ヤンマースタジアム長居で戦った。結果は2度奪われたリードを追いついてのドロー。ホームでの初戦を3‐0で快勝していたベルマーレが、実に22年ぶりとなるベスト4進出を決めていた。

 一夜明けて帰京したチームと離れて大阪に残った眞壁会長は、夕方になって吹田へ足を運んだ。会いたくなる誰かがいたのだろう。思いを巡らせているうちにベルマーレ出身で、今夏からベルギーのシントトロイデンVVでプレーしているDF遠藤航が浮かび上がってきた。的中だった。

「(遠藤)航に会いに行きました。ベルギーへ行くことが決まった直後に電話がかかってきて、その時に航のサイン入りの日本代表ユニフォームを頼んだら郵送してくれたので、そのお礼も兼ねて」