究極は、間仕切り壁や
柱のない大空間の家
可変性の高い住宅の条件として、鈴木教授は以下の3点を挙げた。
(1)流動的な間取りであること
くつろぐ場所、食事をする場所、仕事をする場所などをそれぞれ個室にしないで、家具や簡単な間仕切りで空間を自由に使い分ける。例えば、子ども部屋も、本当に個室が必要な時期は案外短いと鈴木教授。そして、家具は壁に付けて配置するのではなく、間仕切りとして使うと自由度が高まるという。
(2)間仕切り壁を耐力壁にしない
間仕切り壁が耐力壁でなければ、将来簡単に取り除けるし、壁の位置も自由に変えられる。もともとの敷地が変わらなければ、外壁を不動とし、内部を変更可能にすることが望ましい。さらに、柱や梁の凹凸もできるだけ少ない方が良い。
「私が考える可変性の高い住まいの究極の姿は、外側の構造体で強度や耐震性を確保し、内部は柱も間仕切り壁もない大空間にすることです。建築技術的には可能ですし、これならば家族形態やライフスタイルがどう変化しても対応できます」
(3)可変性の高い家具を利用する
必要に応じて天板の長さが変えられるエクステンションテーブル、スタッキングできる(積み重ねられる)椅子、ベッドになるソファーなど、日々の暮らしの出来事に対応できる家具を用意する。
「これらの家具は、狭い日本の住宅で開発されたと思われがちですが、実は欧州で生まれ、スペースを有効活用するために伝統的に用いられてきたものです。最近は機能性もデザイン性も優れたものが出回っていますので、上手に利用してほしいですね」
鈴木教授は可変性の高い家具をさらに発展させて、建築家具(建築の機能を併せ持つ家具)を考案している(写真参照)。
折り畳み式で移動可能なキッチン、書斎、ベッドルーム(非売品)。こうした建築家具を利用して、客間や子ども部屋を造らない選択も