「お客さまの、こうしたい」を聞くのが
実は楽しい
牧野フライスは、その社名の通り、1937年に一番立フライス盤の専門メーカーとして操業した。戦後の58年には日本初の数値制御(NC)フライス盤を開発。さらに66年にはマシニングセンタの国産1号機を開発するなど、先進性のあることに取り組む姿勢が早くからあった。さらに放電加工機の開発、生産、販売にも乗り出し、特色ある製品を市場に送り出している。
5軸制御 立形マシニングセンタ V90S
中・大物金型の仕上げ加工で 面品位向上と加工時間短縮を同時に実現している。
中・大物金型の仕上げ加工で 面品位向上と加工時間短縮を同時に実現している。
新しい概念を備えた工作機械の開発は、「挑戦心と同時に徹底して顧客に寄り添う事業姿勢を原動力にしている」(井上社長)。例えば戦後、牧野フライスは、近隣にあった光学機器メーカーの要望に応え、立形フライス盤をカメラのボディーの削り出し加工用機械として納める。加工されたボディーの加工面の美しさが金型メーカーの目に留まり、その業界に立形フライス盤が普及していく。これが「金型の牧野」と呼ばれるきっかけだった。
「当時、カメラは非常に高価な商品であり、極めて高精度の加工が求められました。当社が、その要求に応えられる加工機を開発できたのは、お客さまに密着し、厳しいご指摘にも機敏に対応していくことを競争優位の最大要因と考えていたからでした。『お客さまの、こうしたいという声を真摯に聞く』というのが社風としてがっちりと根付いています」(井上社長)
顧客のこだわりを深く理解し、深いレベルで解決しようとする。だからこそ牧野フライスの工作機械は、「特別な一台の納入で始まった機械が、どんどん周辺領域などで活用策を広げていく」(井上社長)のである。