「顧客の『こうしたい』」を可能にする
「特別な一台」がニーズにつながる

理想の加工法を実現する
工作機械を造る

「顧客の『こうしたい』」を可能にする「特別な一台」がニーズにつながる人工関節
膝関節の下部と同じ形状のグラファイト(写真下右)を立形マシニングセンタV33iなどで製作し、このグラファイトを電極にして放電加工機EDNC6で金型(写真下左)を作成。この金型から作成した関節模型をベースに、最終的にチタンを削り出して膝関節の下部(写真の赤線で囲った部分)を製作する。

 牧野フライスの工作機械は、剛性が高く、高速回転でもぶれない主軸に強みがある。それが美しく精度の高い加工面を生み出す。

 牧野フライスの製品開発でユニークなのは、金型なり部品なりの最適な加工手法を詰めてから、それを実現する工作機械を開発している点だ。つまり到達目標を妥協せず、自らに高いレベルの目標を課す。例えば生産性を高めるため高速で加工すると工具磨耗も早くなる。航空機用部品を造るチタン加工で、「工具寿命を4倍に延ばしながら、生産性も4倍にする」というトレードオフの難題をクリアできる理由がここにある。

 井上社長は、「高い評価の前提にあるのが、『母性の原理を超える人の力』です」と説明する。工作機械の母性の原理とは、加工された物は親の機械の精度を超えられないとする考え方で、工作機械を造るための各種の部品もまた、造り出すマザーマシンの精度は超えられないといわれる。

「顧客の『こうしたい』」を可能にする「特別な一台」がニーズにつながる腹腔鏡(ふくくうきょう)手術用鉗子(かんし
内視鏡の手術で使われる腹腔鏡手術用鉗子。写真の鉗子は岐阜県関市の足立工業製。同社はその先端部分を立形マシニングセンタV33i-5XBで切削加工し製作している。腹腔鏡手術の際、先端部分で組織を強く把持でき、剥離も可能。縫合操作の際に糸の把持もできる。

 「4700人の当社グループの社員の半数は、生産現場におり、まさに彼らこそがクオリティ・ファーストを実現する“人財”です。人財が最後に手をかけることで、母性の原理の壁を越えているのが牧野フライスだと思います」(井上社長)

 クオリティ・ファーストは、現代のカスタマー・ファーストと言える。その神髄は、ユーザーの期待に応え続けていくことだろう。それはユーザーに、「これは!」という驚きと同時に、「こう使えるのではないか」という気付きを届ける。牧野フライスの工作機械は、工作機械の“よき道具”としての“本分”を実現しているといえる。
 

●問い合わせ先
牧野フライス製作所 http://www.makino.co.jp/jp/
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