工作機械の総合性能を左右すると言ってもはばからないのが切削工具だ。加工品の軽薄短小化にいち早く対応し、超硬小径エンドミルで圧倒的な支持を得ているのが日進工具。その製品群は、日本のものづくりの“影の主役”でもある。
小径エンドミル領域で
トップクラスのシェア
「工作機械に真の実力を発揮させるのは、装着される切削工具である」。この素朴であるが紛れもない事実を深く認識させられるのが、日進工具の「エンドミル」だ。
エンドミルとは、垂直方向と水平方向に切削刃があって工作機械の主軸に装着され、金型となる非常に硬い被削材(鋼材など)や部品となる材料を穴、溝、平面、さらには3次元曲面など多彩な形状に切削加工する工具。
後藤弘治 代表取締役社長
日進工具は、刃先が硬く、径が6ミリ以下の超硬小径エンドミルに特化。連結売上高の75%は超硬小径エンドミルで占められる。
電器・電子部品の「軽薄短小」の波は進化こそすれ停滞はない。例えばスマートフォンで複数枚のカメラレンズを格納するレンズユニットの金型加工には超硬小径エンドミルが欠かせない。機械式時計の小さなパーツや自転車の変速ギアの加工、一眼レフカメラのレンズを収める鏡筒の金型製作などにも用いられている。
最近では、自動車のLEDヘッドライトが注目分野だ。LEDの採用でヘッドライトのデザインは自由度を増し、イメージを一新した。しかし、そのためにはドットやV状の微細溝パターンを精密に刻む必要があり、かつ高い鏡面性が求められる。日進工具の製品によって、精度の高い鏡面加工が可能になった。
超硬小径エンドミル分野での日進工具の国内市場シェアはトップクラス(自社推定)。不可欠なパートナーとして日本のものづくりを支えている存在だ。
日本の超硬工具市場は3000億円規模で、超硬小径エンドミル市場はさらに小さい。そうした中で日進工具が、ものづくりパートナーとして不可欠な存在でいることに後藤弘治社長は、「私どもは経営資源の徹底した選択と集中、“MADE IN JAPAN”の深耕、顧客密着による最新の加工技術の提案力と技術イノベーションに向けた投資の継続などを地道に推し進めてきました」と説明する。