企業価値や
生産性向上に貢献
国は、ZEB化に向けた取り組みを三つの段階で評価しているが、高効率の設備システムで50%以上の省エネを達成する第1段階「ZEB Ready」の実現すら実はかなり難しい。「ZEB Ready」を目指すビルの建築費は、省エネ基準相当の建物に比べて約10%増になるという国の試算もある。そんな中、国の補助事業を活用して、すでに60以上のビルがZEBに取り組んでいる。建築計画段階からオーナー(企業や自治体)が「ZEBプランナー」の認証を得た専門家(建設会社など)の関与の下にZEBのプランを作成し、「ZEBリーディング・オーナー」(ZEB普及目標や導入計画、導入実績を公表した先導的建築物のオーナー)として登録され、ZEB実証事業と認定されたものだ。
「ZEBの建築費は、経済合理性に見合うとは限らないが、企業のブランドイメージの向上、災害時のBCP(事業継続計画)対応、従業員やテナントの知的生産性向上、不動産価値の向上といったメリットが得られるだろう」(倉渕教授)。
現行の省エネ基準よりさらに進んだ取り組みが進行している今、中小規模ビルにも省エネ化は必須になってきている。