「顧客体験をビジネスの中心に」をテーマとする「Adobe Symposium 2018」(アドビ シンポジウム 2018)が、9月4日と5日、東京で開催された。マーケティング、分析、広告、コマースの各分野の機能が統合されたクラウド基盤「Adobe Experience Cloud」を利用する企業のマーケティング担当者が集い、顧客体験をマーケティングの中心に据えている企業の成功事例などに触れた。オープニングとして4日午前に行われた基調講演の模様を紹介する。
企業の顧客体験改善
実施率は2割に留まる
基調講演は、アドビ システムズ日本法人のジェームズ・マクリディ代表取締役社長によるあいさつから始まった。マクリディ氏は、今年で9回目を迎えるシンポジウムに2日間で5000人以上の参加申し込みがあったことに感謝を述べ、シンポジウムの目的について説明した。
マクリディ氏は、「デジタル技術によって顧客体験を高めた企業は、収益を31%、顧客満足度は160%向上させている」という第三者機関の調査データを紹介。さらに、「日本の500社を調査したところ、88%の日本のエグゼクティブは顧客体験ビジネスを提供したいと考えているが、実現できているのは2割にすぎない」という現状を報告した。
その原因としてマクリディ氏は、①社内のデジタルマーケティングのリソースが限られていること、②最先端テクノロジーを導入している企業は多いが、それぞれのテクノロジーが分断化していることの2点を挙げた。
マクリディ氏は、顧客体験ビジネスを実現するポイントとして、「卓越したデザインのコンテンツづくり」「データをインサイトにする仕組み」「分断化されたテクノロジーをひとつにする顧客体験のためのプラットフォーム」の3つを挙げ、それぞれに対するアドビの答えとして、「Creative Cloud」「Document Cloud」「Experience Cloud」の3つを用意していることを紹介した。
続いて登壇した米アドビ システムズのプロダクトマネージメント担当シニアディレクターのスティーブ・ハモンド氏は、シンポジウムのテーマである「顧客体験をビジネスの中心に」するための課題として、「テクノロジーの刷新」と「人材強化」の2つを挙げた。