導入企業ではウェブ売上
前年比187%も
基幹系とウェブが連携することによって、どのようなメリットが得られるのだろうか。例えばECサイトによる受注は、データの形で直接システムに入力される。電話や紙の伝票に比べミスが減り、確認作業の負担も大幅に軽減でき、業務を効率化できる。それだけでなく、ECサイトはそれ自体が売上を伸ばしビジネスを成長させる原動力となる。
同社の事例を見てみよう。酒販売店や飲食店向けの業務用備品の企画、販売を手がけるサントリーマーケティング&コマースでは、アイルのECソリューションを導入し、取引先とのECサイトを強化した。詳細な商品検索が可能となり、その結果、電話問い合わせ件数を年間8000件削減。
また、ウェブ経由の売上を前年比187%まで大幅に引き上げている。その背景には、(1)EC用ウェブサイトを既存顧客だけでなく新規顧客にも利用可能とすることで顧客拡大に結び付ける施策、(2)季節やテーマに合わせた企画提案、新商品・売れ筋商品の情報の発信、(3)商品の欠品時に類似品を提案する施策を組み合わせたことが大きかったという。基幹系が持つ高精度なデータと連携することでECサイトの付加価値を高め、新たな顧客開拓の窓口としての魅力を増やした。それに加えて、ECサイト向けの施策をきめ細かく打ち出せたことも成果に結び付いた。
最新テクノロジーを活用し
さらなる利便性向上を
このように、リアルとウェブでの真の連携を実現し、企業のデジタルトランスフォーメーションをサポートするアイルでは今、さらなるテクノロジー活用も進めている。例えば同社ソリューションへのAI(人工知能)によるデータ分析機能の実装もその一つ。販売・在庫・顧客などの膨大な業務データを、AIを活用して自動で分析できるような機能開発を進めている。また、島根県松江市に設立したラボ(研究所)では、ブロックチェーン技術の研究を進めており、市場でもまだ事例の少ない業務データの基盤としての活用を検討している。
ただし、アイルの強みは技術の先進性だけではない。「ユーザー企業さまからお困りごとの電話を頂いた際に、担当者でなくともコールセンターのメンバーがユーザーさまの状況を理解できている。徹底したアフターフォローこそ当社の強みです。あくまでもテクノロジー活用は、血の通ったサービス展開をするためのもの。自社での実践を通し、今後もユーザー企業さまに展開していきたいと考えています」(岩本社長)
同社では、今後も日本企業の実態に合った、地に足の着いたデジタル変革への取り組みを実践していくとしている。
株式会社アイル https://www.ill.co.jp/