“思い込み”を捨てて感性に合う街を選ぶ
では、都心で働かなくてはいけない夫婦やシングル女性はどうだろう。通勤はしやすいが価格の高い都心で、何とかマイホームを手に入れる方法はないものか。
「冒頭で女性は感性を重視すると言いましたが、だからこそなかなか妥協ができなくて、物件選びが難しくなる傾向があります」
「清澄白河」付近で家を探している夫婦がいたが、どうしても予算が合わなかった。近くの木場なら若干安くなり、夫はそこがいいと言うのだが、妻は嫌だと言う。こうして〝家探し難民〟が生まれると藤木氏は指摘する。
「『その街に住みたい』のか、『将来の資産として家が持ちたい』のかを改めて考えてみることが必要です。両立できるなら購入すればいいし、できないならどこかで少し妥協する。木場に住んで、週末に自転車で清澄白河に遊びに行けば、予想外の楽しみが見つかることもあるでしょう」
最近では、池袋から西武池袋線で1駅目の「椎名町」(豊島区)も、おしゃれなカフェやレストランができ始めていて、女性が好みそうな街だ。ただし、「池袋」での乗り換えを煩わしく感じる人も多い。
しかしこれも、乗り換えを面倒と見るか、帰宅時に池袋のデパ地下で高級惣菜を安く買う楽しみができると見るかで、その人にとっての「街の価値」は変わってくる。
「その街が好きで集まってくるのは、感性や価値観が似た女性たちですよね。予算を優先して好きでもない街に住んで、感性の合わない住人と付き合うのは、ストレスになるし楽しくない。だからこそ、やはり好きな街は直感で選んだ方がいいでしょう。ただ、そのためには、ある程度の妥協や断捨離が必要です」
例えば、「広さは最低○平方メートル」「ウォークインクローゼットが欲しい」「リビングとダイニングは別々に必要」といった“思い込み”を捨ててみる。今は洋服やバッグでもシェアできるサービスがたくさんある。これを利用して条件からウォークインクローゼット(1坪)を減らせれば、物件価格が250万~300万円くらい安くなる。また、実際に生活を始めたら、ダイニングテーブルは物が置かれているだけで、リビングで食事をすることも多い。
「思い込みを捨てて断捨離を実践すれば、すっきりとコンパクトに暮らせるようになり、好きな街やその周辺にマイホームを持てる可能性が高くなると思います」
感性と現実を上手に両立させた街選びは、新しいライフスタイルとの出合いのきっかけにもなる。