少量多品種のおかずで
小皿料理をイメージ
弁当は必ず手渡しする。「ありがとう」という言葉が、宅配員にとっての励みとなる
弁当の値段は創業以来1食500円~(おかずのみ、税別)。1カ月間、昼と夜の2食を頼んでも、年金生活者が利用しやすい約3万円に収まる。安価でも献立は充実していて、特製の容器(コラム参照)を使い、小皿料理のように、少しずつたくさんの味が楽しめる工夫がしてある。一般の弁当とは違っておかずとご飯を同じ容器に盛らないのも、ご飯を手に持ち姿勢良く食事をしてもらうための配慮だ。
「宅配クック123」が他の一般的な配食業者と大きく異なる点は、配達時に手渡しして世間話をすることで「安否確認」と「認知症対応」を行っているところにある。「それを1分間のコミュニケーションと呼んでいます」と高橋社長。
「世間話だけでなく季節に合った服装をしているか、冷暖房の切り替えができているかといったチェックもさりげなくしています。夏なのに厚着をしていたら、熱中症予防のためご本人にお伝えすることはもちろんですが、認知症のおそれもありますので、ご家族やケアマネジャーにもお知らせするようにしています」
屋号の「123」には、向こう三軒両隣の意味が込められている。近隣の人が高齢者の暮らしを見守る習慣は廃れつつあるが、「毎日お客さまに接している私たちが近隣の人として真っ先に異変に気付くべきだと思うのです」(高橋社長)。
手渡しの宅配は手間がかかり非効率だが、コミュニケーションと献立のコストはできる限り削らず、提携企業のセントラルキッチンを活用するなど、その他の部分でコストを抑えている。
(左)管理栄養士がエネルギー量500kcal前後、食塩相当量3.0g以下の献立を作成。「腹八分目、心は十分目」を心掛けている
(右)毎月1回は季節感のある行事食を同じ値段で届けている。土用の丑の日は国産ウナギを使ったうな丼だ。「お食事は体の栄養になるだけでなく、お客さまにとっての心の栄養になり得るものでなければならない」(高橋社長)のそんな想いから始めた取り組みだという
(右)毎月1回は季節感のある行事食を同じ値段で届けている。土用の丑の日は国産ウナギを使ったうな丼だ。「お食事は体の栄養になるだけでなく、お客さまにとっての心の栄養になり得るものでなければならない」(高橋社長)のそんな想いから始めた取り組みだという