経営理念の中に
すでに包摂するもの
それでは企業は、SDGsをどのように活用していけばいいのだろうか。
その点について、蟹江教授は次のように答える。
「自社がSDGsにコミットしているということは、大いにアピールしていいと思います。国連で決まった目標なので、活動に『正当性』を与えやすいことも大きな利用価値です」
むしろ今後は、自社のビジネスをSDGsの文脈で明確に語れないことの方がリスクにもなりかねないが、過度の心配は必要ない。企業がすでに掲げている経営理念やビジョンの多くは、SDGsと親和性の高い概念を包摂している。どんな企業でも、17の視点、169の「ターゲット」に必ずマッチするポイントがあるはずだと、蟹江教授は語る。
「そこから他の視点へと横展開できればいいのです。SDGsは新しい発想や大胆なアイデアを生み、中長期的な業容変化や商機をつかむための良いヒントになるのではないでしょうか。長期的視点でスケールアップした経営戦略を思考する際に有効だと思います」
今後、SDGsが示す未来と現状とのギャップが埋まれば埋まるほど世界は変化していく。その変化の中で、どう持続し、成長していくべきか。
それぞれの企業の発想力が問われている。