今後の課題は
経営人材の育成
鳥越:経営を取り巻く環境変化が激しいなかでは、パソコンでいえばアプリケーションソフトよりもOS(基本ソフト)、つまり人の基本的な資質や仕事に対する姿勢をどう形づくるかが、どの企業にとっても重要になると思うのですが、御社ではどのような育成計画を立てておられますか。
村越:事業経営モデルを高度化するために、経営力の高い人材を継続的に輩出することを目指す人事制度改革を実施する予定です。これは当社の「中期経営計画2021」でも公表しているのですが、「現場のプロ」「経営の実践」「経営人材として活躍」の3つのステージで人材を育成していく方針です。
従来は20年から30年かけてその道のプロを育てていましたが、今後はそれを5年から10年に圧縮した形で、特定分野のプロとしての知識と経験を集中的に積んでもらいます。ここが、鳥越さんの言葉でいえばOS、ビジネスパーソンとしての背骨をしっかり形成する段階です。このステージでの知見や成功体験があってはじめて未来を変える構想力が生まれて来るし、実行力も身につくはずです。
次の「経営実践」ステージでは、経営陣の一員として複数の事業会社でマネジメント経験を積んでもらいます。最後の「経営人材として活躍」するステージでは、経営陣として事業運営を自らドライブするわけですから、結果責任を厳しく問われることになります。その代わり、成果に応じたメリハリのある報酬体系を考えています。
これら3つのステージを通じて、分野を超えた高い経営力を持つ人材を数多く輩出し、当社グループ全体の成長をけん引してもらう。当社が目指す事業経営モデルでは、これまで以上に社員の成長と会社の発展が強くリンクしますから、社員の成長意欲を高め、それを維持する環境整備が私たち経営陣に課された任務だと自覚しています。
鳥越:価値観の共有を前提とした採用、あるいは現場経験を通じた背骨の形成などの育成プロセスによる基本姿勢の維持強化が組織としての競争優位につながっていることを強く感じました。本日はどうもありがとうございました。
(この資料のダウンロード期間は終了いたしました)