アドバンテッジ リスク マネジメント社長の鳥越慎二氏がホストを務め、「人材戦略と健康経営」をテーマに語り合う対談の第2回。今回は2018年7月に長期ビジョン「変革2027」を公表した東日本旅客鉄道(JR東日本)の喜㔟陽一常務取締役をゲストに迎え、新たな成長戦略と人材育成のビジョンについて聞いた。
「鉄道インフラ」起点から
「ヒト」起点のビジネスへ
鳥越:グループ経営ビジョン「変革2027」を発表されましたが、経営環境の大きな変化を踏まえて、JR東日本は今後どのように変革を進めていくのでしょうか。
常務取締役 喜㔟陽一氏
喜㔟:経営環境の大きな変化として、まず考えなければならないのは、人口の減少です。東北・上信越地方では、2040年までに3割近くの人口減少が見込まれていますし、首都圏でも25年以降は緩やかに人口が減少していく見通しです。加えて20年以降は、働き方の変化やインターネット社会の進展、自動運転技術の実用化などによって、鉄道による移動ニーズが縮小するリスクが予想されます。
また、人工知能(AI)やIoTなど新たな技術が非常な勢いで進化しており、我々の仕事に高度化が求められるとともに、事業のあり方自体も変革を迫られています。
そしてもう1つは、加速するグローバル化です。従来の延長線で考え、行動していては、こうした環境の激変には適応できません。
我々は、いまこそグループ全体が新しい時代に向けて変革をスタートさせる時と位置づけました。そして、変化に対応するだけではなく、むしろそれを先取りしていくぐらいの気概を持って、「鉄道インフラ」を起点としたビジネスから、「ヒト」の生活における「豊かさ」を起点として新たな価値やサービスを創造するビジネスに転換することを決意しました。
「ヒト」とは、お客さまや地域の皆さま、また事業を海外に展開した先にいらっしゃる新しいお客さま。さらに株主や投資家も入ります。そして、忘れてならないのは、変革の主役である社員やその家族です。
代表取締役社長 鳥越慎二氏
当社グループのすべての基盤は「信頼」であり、今後それをさらに確固たるものとしていきます。そして、ヒト・モノ・カネ・情報などがさまざまに交流するネットワークと、その交流の拠点となる駅を有するという当社グループの強みを最大限に活かし、新たな価値やサービスを創造していく方針です。
そのためには、グループで働く社員一人ひとりが、「自らが変革を担っている」という強い当事者意識を持ち、行動を変えていかなければなりません。「豊かな未来」を創造していくうえで主役となるのは社員であり、仕事を通じて達成感や成長感を得られること、つまり働きがいを創出していくことが、「変革2027」を達成するうえで重要なカギになると考えます。
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