「ヒト」起点へのビジネスモデル変革を
全社員の働きがい創出によって実現する

シリーズ対談「人材戦略と健康経営」 第2回:東日本旅客鉄道

鳥越:大きな変革は、社員に対してポジティブな刺激を与える一方で、一部の人にはストレスを感じさせる可能性もあります。高度なマネジメントが必要になりますね。

喜㔟:おっしゃる通りです。鉄道事業にとってのトッププライオリティは「安全」です。今後も「究極の安全」を徹底して追求するためには、これまで通り、決められたことを地道に、かつ確実に遂行する文化は大事です。しかし一方で、変革を達成するには新しいチャレンジが当たり前になる企業風土を醸成していくことも必要です。

 そのためにいま、現場社員を中心として3カ月間の海外研修、社員が主体的にキャリアを形成できる公募制の異動や研修などの制度的な取り組みに加えて、社員のマインドを自分の所属する職場から外に向けて開かせることに取り組んでいます。我々の課題は、社員が職種を問わずチャレンジできる活躍の場をさらに広げていくことです。

鳥越:変革に伴って社員が抱く不安の解消については、どのように取り組んでおられますか。

喜㔟:役員をはじめ本社・支社のマネジメント層ができるだけ現場に行き、「変革2027」の目的や方向性を自らの言葉で社員に語りかけ、意見交換する機会を増やしています。その場では、我々が気づかずにいたことについて、かなり忌憚のない意見をぶつけてくる社員もいます。その場合、大切なことは社員の意見をただ聞くだけではなく、必ず実施の可否を返すことだと思います。できることはすぐやり、できないことはその理由をきちんと説明する。「自分が動けば、制度や働き方は変えられる」と実感してもらえれば、モチベーションは高まるはずです。

 また、成長の成果を皆が実感できるようにします。具体的には、労働条件の向上、職場環境の改善、健康経営の推進などです。それによって、さらなる働きがいを創出し、社員・家族の幸福とグループの持続的成長を同時に実現していきたいと考えています。

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