海洋国家で火山国家の日本だから
洋上風力と地熱発電に可能性がある

中村:2018年5月、私たちは千葉県銚子市と新しい電力会社を設立したのですが、その目的のひとつは、銚子沖で洋上風力発電を行うことです。銚子は港町で、水揚げした魚を冷凍保存するために大量に電力を消費します。その電力を自分たちで作り、自家消費する。それで余った場合は売電するという取り組みです。

 SDGsやRE100など再生可能エネルギーへの関心が高まるなか、すぐに開始でき、経済的な効果を見込めるのが戦略です。発電コストの低下に伴い、自家消費は今後あたり前の世の中になっていくと考えています。

小泉:日本は海に囲まれているんだから、そういう取り組みはもっとあってもいいね。あと、日本は火山国でもあるのだから、地熱も可能性があるでしょう。これは九州に視察に行きましたが、吹き上げてくる蒸気でタービンを回し、発電していました。

中村:私たちも鹿児島の指宿で、地熱発電のパイロットプラントの検討をしています。地熱発電の場合は温水も湧き出るので、その温水でビニールハウスを温めて、蘭の栽培を行えます。また、バイオマス発電も検討しています。燃料はゴミ、食品廃棄物です。今、コンビニなどで廃棄される消費期限切れの食品の廃棄が問題になっていますが、そうした食品廃棄物を発酵させてガスを排出させることで発電するのです。食品廃棄物の回収と発電の両方で利益を上げられるので、市町村と組んですすめていきたいと考えています。

小泉:使わなくなった携帯電話やパソコンを回収し、内部にある金や銀をリサイクルし、2020年の東京五輪のメダルにしようとしているでしょう。回収されるまで眠っているそういった金属を都市鉱山というけれど、燃料についても、いってみれば各地に分散する“都市燃料”があるわけだ。そういったものを活用しようというアイデア、そして技術が日本にはあるんですよ。

中村:地熱発電で言えば、東京の八丈町の電源の約6割は地熱発電で賄われています。これを100%にまで高め、自動車の動力も含めて、再生可能エネルギーだけでカバーされる自治体がひとつでもできれば、あとはそのエリアを全国に拡大するだけなのかなという気もしています。たとえば、外国人観光客も多い直島(香川県)などはいい候補だと思っています。

小泉:淡路島(兵庫県)もいいんじゃないですか。太陽光発電所もあるし、洋上風力や潮流発電も検討しているから。

中村:そうですね。私たちとしては、志を同じくする自治体とぜひ一緒に取り組みたいと考えています。そして、再生可能というくらいですから、自然エネルギーを使って電気を作るという循環を作りあげれば、最終的にはエネルギーはタダに、つまり、日本をエネルギーフリーの国にできます。太陽光だけではない、自然エネルギーを増やしたい。“きっと”ではなく“絶対”にできると信じています。