全電源を再生可能エネルギーで賄うのに必要なのは大号令

小泉:2011年より前の戦後日本の最大の危機と言えば、1973年のオイルショックですよ。それまで1バレル2ドルほどだったのが、10~11ドルに急騰したことで、国内はパニックに陥りました。その当時、全電源の燃料の7割を輸入に頼っていたからです。堺屋太一さんが、石油が入ってこなくなった日本を舞台にした『油断!』という小説を1975年に発表したけれど、まさにそういう事が起き、だからこそ、省エネの技術が発達し、日本は環境先進国になった。

 最近では2008年にも原油価格が高騰し、1バレル150ドルに迫ったことがあったけれど、でも、オイルショックの時のように店に行列ができるようなことはなかった。なぜなら依存度を70%から40%近くまで下げていたからですよ。我々は変化に対応できるし、ピンチをチャンスに変えられるんです。

中村:今もそうでしょうか。当時の日本にはあったのに、今の日本にはない「力」のようなものはありませんか。

小泉:昔は良かったという人がいるけれど、今の方がずっと発展していますよ。それは、知恵が出てきているから。電話ひとつとったって、昔、選挙遊説中は公衆電話を探して事務所に連絡を入れていたのが、自動車電話になり、携帯電話になり、今はスマホでしょう。こちらが追いつけないくらいに、どんどん進化していますよ。

中村:たしかに、この分野もゆっくりではあっても前に進んでいるのは確かです。そうして変化することで、これからの日本はどんな国になっていきそうですか。

小泉:災い転じて福となすという言葉があるように、2011年3月11日に起きたことを機に将来は全電源を再生可能エネルギー化するという方針を政府が強く打ち出せば、企業も国民もそれに沿って行動し、100年もかからないうちに、日本は再生可能エネルギー国家になりますよ。あの事故は確かに大事件で、被害を受けた方は本当にお気の毒だけれど、そうしたチャンスと受け止めることができるし、受け止めるべきです。

 だから中村さんたちのやっていることは素晴らしいし、日本が環境先進国になるには欠かせないことだと思いますよ。これからは、再生可能エネルギー、自然エネルギーの時代ですよ。地産地消が進めば、それぞれの地域の発展にもつながるでしょう。

中村:まさにその通りです。私たちが今最も力を入れて進めているのが自家消費のサービススキームです。太陽光発電単体でのシステム販売ではなく、設備の設置はもちろん、電力の買取・供給・蓄電・売電まで一気通貫したサービスで、購入者の費用負担が少なくなる導入ができるモデルとして商品化を行い販売しています。それぞれの発電量は小さいものですが、数が集まれば大きな電力量になります。その電力をご家庭ごと、または地域ごと蓄え、分散化させて地産地消する。その成功事例を一刻でも早く作り、それを全国へ展開したいと考えています。

 今日、小泉さんとお話ができて、自然エネルギーの最大普及に向かって邁進していく気持ちがより一層強まりました。本日はありがとうございました。

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制作/日本ビジネスプレス

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