「人生100年時代」の到来とともに、健康長寿に対する人々の意識はますます高まっている。IoT(モノのインターネット)やAI(人工知能)などの技術は、健康増進を支えるテクノロジーとしても注目されているが、その領域で新たな可能性を切り拓いているのがソニーグループだ。スマートフォンやデジタルカメラなど、数多くの製品開発で培ったハードとソフトの卓越した技術を融合し、機械学習を応用することで、信頼性とエンターテインメント性を兼ね備えた「ソニーらしい」ヘルスケアサービスの提供を目指している。
美容関連製品の販売現場を
「ソニーらしさ」が変える
百貨店やドラッグストアなどの化粧品販売コーナーでは、顧客の肌質をその場で診断し、ケアの方法や関連する美容製品を提案するのが一般的だ。
かつては、マイクロスコープなどの機器を使ってビューティー・アドバイザーが肌チェックするのが当たり前だったが、最近ではコンパクト化が進み、軽くて持ちやすい形状の機器も登場している。なかでも使いやすさを追求した製品として話題を集めているのが、ソニーの「Skin View Camera」だ。
これは、ソニーネットワークコミュニケーションズが提供する肌解析サービス「BeautyExplorer™」のために開発された測定機である。大きさは手のひらサイズ、丸みを帯びたボディは握り心地がよく、手にしっくりとなじむ。
しかも、コンパクトであるにもかかわらず、その内部にはソニーが長年、高機能化に取り組んできたCMOSセンサーや複数波長光源のLED、レンズなどを内蔵した光学モジュール、完全ワイヤレスの無線モジュール、水分センサー、バッテリーなどを高密度に詰め込んでいる。
数多くの「世界最小・最軽量」クラスの製品を世に送り出すなど、小さなボディに先端技術を詰め込み、デザインにもとことんこだわるソニーの矜持が垣間見えるハードウェアだ。
「この『BeautyExplorer™』には、ソニーグループが培ったハードウェアとソフトウェアの技術を幅広く採り入れています。ハードとソフトの融合によって、これまでにないリカーリングビジネス(収益継続ビジネス)を実現しています」と語るのは、ソニーネットワークコミュニケーションズ IoT事業部 事業推進2部(ヘルスケア事業を統括)の木下直人部長である。
IoT事業部 事業推進2部
木下直人 部長
同社は「BeautyExplorer™」のために、ソニーがカメラやスマートフォンで培ったイメージセンサー技術、テレビやカメラで磨いた画像解析、信号処理技術を生かし、SSKEP(Smart Skin Evaluation Program)という独自の肌解析技術を開発した。