Q5
新卒で入社した企業を「1年以内に辞める!」と子どもが言い出したら、親としてどう対応するのが妥当ですか? その時に、絶対に言ってはいけないこと、やってはいけないことはありますか?
せっかく入社したのにすぐに辞めてしまう新卒社員はかなりの数にのぼります。1年で1割、2年で2割、3年で3割とも言われるほどです。転職はすでに一般的となり、マイナスイメージはそれほどありません。入社したばかりなのに転職サイトに登録する新卒社員が大勢いることも事実です。
しかし、それが我が子となると、「まだまだ半人前のくせに!」と責め立てたり、「何を言っているんだ、もっと我慢しろ! 俺の若い頃は……」と、自分の過去を持ち出して、我が子の忍耐力のなさを嘆く人も多いでしょう。人格を否定したり、親世代の若い頃と比べることは、絶対にやってはいけないこと。およそ20~30年前とは、社会環境や企業のスタンスが大きく変わっているからです。
新卒社員が辞める代表的な理由は大きく3つあります。
ひとつめが社内の人間関係、ふたつめが人間関係を含む会社の職場環境、3つめが自分の思っていた仕事とは違うという実感――つまり、思い描いていた仕事の理想と現実のギャップです。まずは、この3つのうちのどれが「辞めたい」理由なのかを本人に聞いてみましょう。
注意しなければいけないのが、人間関係や職場環境の悩みの場合、ブラック企業にはまり込んでいる可能性があること。その時は、迷うことなく、辞める方向に手を貸しましょう。ブラック企業は、特別な契約で社員を縛りつけたり、精神的に強固な人間関係をむりやり築くなどして、簡単に抜け出せないようにしています。ひとりで対処することは非常に難しく、親としてしっかりサポートすべきです。
一方、人間関係や職場環境の悩みであっても、さほど追い詰められている様子ではなく、単に、同僚や先輩、上司とウマの合わない程度であったり、自分の思い描いていた仕事とのギャップだけに悩んでいるようなら、「3年の我慢」を勧めてはどうでしょうか。
やりたいことがあり、そのために会社を辞める人もいるでしょうが、多くの場合、「我慢が足りない」ことに原因があります。社会環境は激変していますが、人間そのものは大きく変わっていません。同じ仕事を3年続ければ、一人前になる、4年目からは見える風景が変わってくる――それは経験学習理論でも裏付けられています。「石の上にも三年」は、現代でも十分に通じる格言なのです。
Q6
SPIなどの性格診断や適性検査は、受験の合否をどれくらい左右するものですか? 私が受験した頃(20年以上前)に比べて、その検査内容に違いはあるのですか?
多くの企業では、性格診断や適性検査を本採用のための「足切り」に使っています。その内容は20年前と大きく変わっていません。就活としては最初に突破しなければならない関門ですが、だからと言って、過度に構える必要はないでしょう。たとえば、性格診断・適性検査の代表であるSPIは、しばしば改訂され、対策本も出ています。主に、性格や(仕事の)適性を見る部分と、知的能力を見る部分に分かれていて、知的能力を見る部分については、事前に勉強することで点数をあげることも可能です。しかし、性格・適性については、基本的に変えることはできません。
事前対策によって、自分をよく見せることはできますが、数多くの質問に答えていくことで明らかなウソは露見する仕組みになっています。また、性格・適性については、積極性・協調性・自主性・規律性など、さまざまな特性の中で、企業によって求められているものが異なります。オールマイティな回答はあり得ません。ですから、ある会社でこれらの検査を受けて不合格であっても、「能力がなかった」と落ち込まず、「自分には向かない業界だった。他の可能性を探ろう」などと、前向きにとらえるべきです。
企業によっては、「足切り」のほか、役員面接の前に、性格診断・適性検査を行うところもあります。しかし、それはあくまでも適性を見るためのものであり、現実の合否で大きなウエイトを占めるのは面接です。ペーパーテストにとらわれ過ぎず、人間対人間の面接に重点を置いて対策を練るべきでしょう。
当コンテンツはダイヤモンド・オンライン編集部が作成したものではなく、クロスメディア事業局が作成したものです。