中小企業庁が発表したリポートによれば、今後10年の間に、70歳(平均引退年齢)を超える中小企業・小規模事業者の経営者は約245万人となり、そのうち約半数の127万人(日本の企業全体の約3分の1)の後継者が未定だという。最近の傾向は、親族内承継の割合が減少し、第三者による承継が増えているとも。中でも注目されるのはITを活用したM&Aの新しい形だ。

事業承継・M&A"新時代"~拡大する「親族外承継」という選択~商工総合研究所
筒井 徹
調査研究室長

​ 日本社会の高齢化が加速する中で、経営者の高齢化も進み、今、特に中小企業の廃業の件数が増えている。日本政策金融公庫総合研究所の調査(「中小企業の事業承継に関するインターネット調査」2016年)によれば、60歳以上の経営者の約半数が廃業を予定していると回答し、その廃業理由の28・5%が「後継者難」となっている。

​ 家制度が変化して、家督を継ぐという考え方が廃れたこともある。バブル崩壊後は、子どもに事業を承継させて苦労をかけたくないと考えるオーナー経営者も増えている。その結果、事業承継のタイミングを逃し、意図しない形で廃業という選択をしてしまうのだ。

​「業績や将来性に問題がない事業者が廃業することになれば、組織に蓄積された経営資源やノウハウが散逸し、地域経済の活力や雇用が失われます。こうした社会的な損失を回避するためにも、中小企業の事業承継対策はわが国にとって喫緊の課題といえます」。中小企業専門のシンクタンク、商工総合研究所の筒井徹・調査研究室長は、そう指摘する。