紛争裁判の根本原因は「契約書」トラブルに
企業は契約書の問題で、多くの売り上げを失っている――。これは、企業向けにクラウド契約書システムを提供するHolmes(ホームズ)の調査結果だ。
「当社が行ったアンケート調査によると、『契約書を締結するまでの間に顧客から契約を撤回されたとことがある』と答えた企業は69.2%に上りました。撤回率(申込数に対する撤回数)は5~10%に上るという回答結果も得ています。契約書をスピーディーに作成し、速やかに交わすだけでも、売り上げは1割近くアップするのです」
こう語るのは、同社取締役COOで弁護士の吉田倫子氏だ。
反対に、契約書締結前に商品やサービスを提供してしまうと、契約を撤回されて代金が回収できなくなるリスクがある。また、契約書を交わした後でも、内容をしっかり把握していないが故に、トラブルを招いたり、うっかり契約更新を忘れて、大事な取引を終了させてしまったりすることも。いったん交わした契約書はきちんと管理し、いつでも内容を確認できるようにしておかないと、売り上げを減らしてしまう恐れがあるのだ。
こうした問題を解決するのが、同社が提供するクラウド契約書システム『Holmes』だ。
取締役COO・弁護士
Holmesがこのシステムを提供するに至った背景には「世の中から紛争裁判をなくしたい」という弁護士としての強い思いがあったという。同社を創業した元弁護士の笹原健太氏と吉田氏は、かつて共同で弁護士法人を設立し、企業間紛争などの弁護を行っていた。
「数多くの紛争裁判を担当していくうちに分かったのが、紛争裁判ではたとえ勝者になっても幸せにならないということ。裁判の過程でお金や時間、訴訟相手となってしまった人との人間関係など、大切なものをたくさん失うからです。そもそも紛争裁判をなくさなければならないのではないか、と強く思うようになりました」
紛争の多くは、契約書を交わしていないことや、契約内容の不備に起因する。そしてその原因になっているのが、契約書の作成・管理の煩わしさであり、紛争裁判の根本原因はここにあると確信した笹原氏と吉田氏は、それを解決するシステムを提供することにしたのだ。