住宅ローンの返済や子どもの教育費、場合によっては親の介護費用など、出ていくお金はやたらと増える半面、長く日本人の所得は頭打ち傾向が続いている。この状態はいつまで続くのか。白根壽晴氏は、現在起きていることと予想される中長期のトレンドにはギャップがあること、そして少しでも早く資産運用を始めなければ将来のインフレに対応できないと警鐘を鳴らす。
エフピーインテリジェンス代表取締役
CFP・税理士 日本ファイナンシャル・
プランナーズ協会副理事長
資産運用の必要性を痛感しつつも、現実には「今のところは人並みの暮らしを維持できているから……」と自らに言い訳をして、決断を先送りしている人は少なくないだろう。しかしそんなことを言っている余裕は、そろそろなくなってきているようだ。
今は下流層が増えて格差の拡大が進んでいるといわれるものの、依然として人口の大部分を占めるのは中間所得層、いわゆる中産階級である。ところが、「今後は中産階級の没落に拍車がかかる」と警鐘を鳴らすのが、ファイナンシャル・プランナー(CFP)で税理士でもある白根壽晴氏だ。
人口減少による
日本経済の縮小化
「グローバル化に伴って中国をはじめとする新興国の賃金に上昇圧力がかかるのに対し、逆に先進国の賃金には下落圧力がかかり、両者は一定水準に均衡しつつあります。つまり、もはや先進国における中産階級の所得は増えないし、むしろ減る傾向にあるわけです。本気でマネープランに取り組まなければ、経済的な幸福は得られないといえるでしょう」
少子高齢化に伴って日本の経済規模が縮小することもしばしば指摘される。しかしながら、それがどんなインパクトを及ぼすのか、具体的に想像しづらいのも事実だろう。
「2005年以降、すでに日本の人口は減少に転じており、今後40年間で3800万人も縮小すると試算されています。年間ベースにすれば90万人で、これは鳥取・島根・高知・徳島・福井・佐賀・山梨の各県の人口より多く(※)、いわば毎年人口の少ない県が一つずつ消失していく計算です。