人口が減るということは、住む人の数が減るわけですから、不動産価格にはおのずと下落圧力がかかります。対照的に、米国は今後も人口が拡大傾向を示し、40年間で1億人も増加するとみられています。それに伴い日米の経済格差が拡大するのは必至。にもかかわらず円の対ドル価値が現水準と変わらないと考えるのは難しいですね」

 経済が縮小していけば、不動産価格のみならず日本株の上昇も見込めそうにない。加えて、将来的に大幅な円安が進めば、円建ての資産価値は暴落することになる。さらに、これまで日本が他国に対して誇ってきた経常収支の黒字についても、“風前のともしび”の様相を呈しているという。

「1000兆円を超える政府債務を抱えていても、海外で日本のことがあまり悲観視されなかったのは、経常収支が大幅な黒字だったからです。今までそれをけん引してきたのが貿易収支でしたが、直近は東日本大震災によるサプライチェーンの混乱や燃料費増加などで赤字に転落。

 それでも所得収支(対外投資による収益)がカバーして経常収支はどうにか黒字を死守したものの、原子力発電の停止でLNG(液化天然ガス)の輸入が拡大傾向にある状況下では、もはや貿易収支の大幅黒字は期待できません」

中長期に取り組む
マネープランが必要

 それでも、欧州債務問題などをめぐって市場に悲観的なムードがまん延し、世界的に株価の下落が進んだだけに、「しばらくは様子を見たい」と考える人がいるのも無理のない話だ。ただ、目先ばかりに目を奪われず、大局的な発想で資産運用を考えるべきだと白根氏は説く。

「何年の歳月を要するかは定かでないものの、やがては欧州債務危機も解決の方向に進み、株式などのマーケットも落ち着きを取り戻して資金が戻ってくるはず。歴史を振り返ってみても、マーケットは絶えずバブルの発生とその崩壊を繰り返しています。

 こうした流れを見据えて、中長期のスパンで取り組むマネープランが求められるでしょう。40~50代なら、老後を迎えるまでにまだ数十年の時間的猶予があります。今からすぐに着手するからこそ間に合うし、時間があればあるほど、相応の効果も期待できるのです」

 まさに「思い立ったが吉日」。少しでも早く始めることに意義があるということだ。