官公庁や地方自治体、外郭団体などによる「入札」の市場規模は、年間20兆円を超える。建設工事だけでなく、役所や事務所で使用するオフィス家具や情報・通信機器、さらにはWebサイトの作成など、案件の種類はさまざまだ。中小企業にも応札の機会が広がっているが、情報不足からチャンスを逃している企業も少なくない。入札情報を効率的に収集・利用できる方法とは?
「興味はあるが、敷居が高そうだ」「建設工事ばかりなので、うちには関係ない」。中小企業経営者の多くは、「入札」にそんなイメージを描いているのではないだろうか。
だが実際は、年間20兆円を超える官公庁や地方自治体、外郭団体の入札のうち、66.5%を中小企業が落札している(2017年度、中小企業庁調べ)。大企業以外は関係ない、と思われがちな入札だが、中小企業にもチャンスが広がっているのだ。
「入札案件の種類は非常に多岐にわたり、公共用途にそぐわない高級品や嗜好品を除けば、ありとあらゆる製品・サービスが対象となります。さまざまな業種に参加のチャンスがあるのです」と語るのは、入札情報速報サービス「NJSS」(エヌジェス)を提供する、うるる執行役員の渡邉貴彦NJSS事業部長である。
NJSS事業部 執行役員
渡邉貴彦 NJSS事業部長
中小企業の応札機会が広がってきた背景には、国の後押しもある。
「かつては入札を行わず、特定の業者に発注する随意契約が全体の6~7割を占めていましたが、現在では2割前後に減っています。公共のものは、できる限り入札で購入するという政府の意向が強まったからです。また国は、中小企業や新規参入企業を支援するため、より多くのチャンスを与えようとする動きを強めています」と渡邉部長は語る。
実際、全国中小企業団体中央会が創業5年以内の企業を対象に行ったアンケート調査によると、回答企業の49%は入札参加から1年以内に、また30%の企業は2年以内に初回落札を果たしたと回答している。
「入札に参加すればビジネスチャンスは広がりますし、過去の落札傾向を見れば、どんな条件なら売れるのかということが比較的容易に分析できるので、民間向けの営業活動よりも確実性が高いと言えます。どんな会社にも必ずチャンスがあるので、試してみない手はありません」と渡邉部長はアドバイスする。