若い世代にも悩む人が増えている薄毛。日々のケアの中にこそ原因が潜んでいることをご存じだろうか? まず普段の毛髪ケアを見直すこと、そして何より、薄毛が気になり出した段階で「早めの対策」を取ることが重要だ。“抜けるリスク”が気になる夏。汗や強い紫外線の影響が高まる夏こそ正しい毛髪ケアを実行しよう。
「毛髪と頭皮は、人生の履歴書」
まずシャンプーの仕方とドライヤーを見直せ
鏡にグッと近寄り、「あれっ、最近……?」と髪をなでる。こんな経験はどの男性にもあることだが、「あれっ?」と思い始めるのは、どの年代が多いのか。ロート製薬の調査によれば、薄毛の悩みの増加が最も多いのが30代で、次いで20代、40代となっている(※1)。実は、抜け毛や薄毛などの壮年性脱毛症は、若い世代も自覚している悩みだ。
育毛診断士で「NPOサイエ式育毛コンシェルジュ協会」の理事長である小林弘子さんは、「薄毛の原因は遺伝だと諦めている方が多いのですが、生活習慣やストレス、シャンプー剤などの環境因子の影響を無視できません。毛髪と頭皮は“人生の履歴書”とも言えるもので、髪に触れ、頭皮をスキャナーで見れば、過去に何があったのかを推測できてしまいます」と言う。
小林さんによれば、毛髪は私たちが考えている以上に“寿命”が長い。一度生えてくると寿命は5~6年。8年から12年も生え続ける健康で太い“長寿髪”もある。だが、薄毛に悩む人の毛髪の寿命はとても短い。
現在の頭皮環境に、過去の状態が表れているのであれば、いったい何が良くないのか。
いくつかある要因のうち、特に日常生活で改めるべきだと小林さんが指摘するのが、「シャンプーの仕方とドライヤーの使い方」だ。
シャンプーの目的は、髪に付いた汚れ、頭皮の皮脂や汗を洗い流し清潔な状態にすること。そしてこの時に多くの人が、指の腹でゴシゴシと毛髪と頭皮をマッサージしているのではないだろうか。
だが、小林さんによれば、「ゴシゴシこすっても頭皮や毛穴の脂肪が掻き出されることはなく、頭皮の油脂分を取り除きすぎ、結果、その脂分を補うために分泌を促してしまう」という。
正しいシャンプーの仕方は、「シャンプーを泡立て、頭全体を包み込むようにし、毛髪の汚れはきちんと落とし、頭皮にはなじませるだけ。こすりたい気持ちをグッとこらえてください」(小林さん)。頭皮の油脂分を取り除きすぎるのはいけないのだ。
ドライヤーで髪を完全に乾かすのも問題だ。ドライヤーをかけすぎると、頭皮は乾燥のしすぎで逆に脂分が増え、脱毛のリスクが高まる。「顔にドライヤーの風を当てる人はいませんよね。でも頭皮は、顔の皮膚同様、デリケートで弱いもの。完全に乾かすのではなく頭皮が多少しっとりしている程度でドライヤーの使用はストップします」(小林さん)。