今年の6月より、英語学習の初中級者を対象とした“聞く・読む能力”を測定する「TOEIC BridgeⓇ Test」に“話す・書く”テストが追加され、トータルで4技能(聞く・読む・話す・書く)を測定できる「TOEIC BridgeⓇ Tests」に生まれ変わった。基礎的な英語コミュニケーション能力を身に付ける手段として、グローバル展開を目指す企業からの期待も大きい。
今、東日本旅客鉄道(以下、JR東日本)は、人口減少やグローバル化などの経営環境の変化に対応するため、「世界を舞台に」をテーマに、持続可能な国際事業の経営に乗り出している。そのような中、JR東日本グループはインド高速鉄道計画や英国での鉄道運行をはじめ、ミャンマーやタイ、インドネシアなどの国で鉄道プロジェクトに参画。技術支援や施工監理、整備メンテナンス、中古鉄道車両の譲渡などを行っている。
その際、同社で海外への技術者の派遣などを行っているのが、東京電気システム開発工事事務所(以下、東電所)だ。東電所では、海外出張の増加や国際規格への対応など、英語力が不可欠になってきている。そこで、社員の英語力を向上させる施策を強化。数年前から「TOEICⓇ Program」を活用している。
語学力向上に取り組む
意欲を高める
「これまで、TOEICⓇ Listening & Reading Test(以下、TOEICⓇ L&R)の受験を勧めてきましたが、社員からは『非常に難しい』『リスニングが聞き取れない』『2時間テストに集中して、とても疲れた』などの声が多く上がっていました。そこで、2017年度からTOEIC BridgeⓇ Testを導入。TOEICⓇ L&Rよりも試験時間が短く、初中級者向けのテストであるため、社員の負担が少なくなりました。その結果、英語への抵抗感が減り、学習意欲も高まって、TOEICⓇ L&R受験者数も増えています」と東電所の石井巧次長は語る。
現在では、受験者のレベルに応じて、TOEICⓇ L&Rを軸にTOEIC BridgeⓇ TestとTOEICⓇ Speaking & Writing Testsを効果的に活用。各テスト受験後には、オンライン英会話やeラーニングで学習し、再度テストを受けて上達具合を確認する「学習」と「評価」のサイクルが確立しつつあるという。
また、技術者は、通常の業務において英語で会話することがほとんどないため、英語になじめるよう、駅のホームで外国人を案内する実地研修「エキナカ留学」を行っている。
「海外の現場では、技術英語さえできればいいという考え方がありますが、アジアでも共通言語となる英語でコミュニケーションが取れることは、事業をスムーズに行う上で、とても大切になります。現在の課題は、英語学習のモチベーションをいかに持続させるかです」