リニア開業で誕生する「中央日本」
楠木建教授が語るその“ディープインパクト”

インターネットの進展がリアルへの欲求を高める

 冒頭で述べた通り、リニア中央新幹線の建設には、東京から名古屋まで約5.5兆円、大阪までは約9兆円という費用が必要となる。建設費用の調達について、「国民負担増大の懸念」といった間違った声も聞かれるが、JR東海は全額自己負担で建設するため、税金は1円も投入されない。

 楠木教授は、「リニア中央新幹線は、成熟した日本には珍しい『超大型プロジェクト』であり、世界のどこにもないインフラになる。そういうチャレンジングな民間企業があってもよい」と歓迎する。またリニア中央新幹線は、人々の暮らしそのものにも大きな変化をもたらす。

「以前はインターネットの発展により、実際に会って話すといったリアルなコミュニケーションが減る、またその価値が薄まる、という言説がありましたが、実態はその真逆になっています。インターネットの情報は誰もがアクセスできるので、例えばビジネスにおいては競合企業との『差』になりません。差を生み出すのは、フェース・ツー・フェースのリアルなコミュニケーションから得られる情報です。インターネットの進展はフェース・ツー・フェースのコミュニケーションの価値を再認識させました。インターネット関連の企業がシリコンバレーに集積していることも、フェース・ツー・フェースのリアルなコミュニケーションに価値があることの証左でしょう。リアルなコミュニケーションの先にあるのは日本が喉から手が出るほど欲しているイノベーションです。こうしたネット時代に、リアルで、人と人のつながりをさらに強めてくれるものの1つがリニアであるのは間違いないでしょう」(楠木教授)
 

リニア開業で誕生する「中央日本」楠木建教授が語るその“ディープインパクト”リニア中央新幹線に関する意識調査
調査対象:『ダイヤモンド・オンライン』メルマガ会員および『週刊ダイヤモンド』定期購読者 調査期間:2019年6月7日~16日 調査方法:メール配信 有効回答数:744名
ダイヤモンド社が『週刊ダイヤモンド』の定期購読者や『ダイヤモンド・オンライン』のメルマガ会員を対象に実施した「リニア中央新幹線に関する意識調査」によると、開通により考えられる生活の変化では「日帰り出張の増加」が最も多かったが、「ICTの活用と相まって働き方が変わり、生産性の向上をもたらす」「東京へのアクセスが容易になることで新たな地方拠点の活用策が出るのではないか」といった期待も寄せられている。リニア中央新幹線を利用したい理由としては、多くの人が「最先端の技術に触れてみたい」と回答。 その他、
・日本の未来のさらなる発展の象徴として乗ってみたい
・東京・名古屋・大阪間が日常通勤に近い日帰り圏となるため
・時速500キロで移動できれば社会の動きも変わると予測するため
など、社会そのもののあり方を変える技術であることへの期待も高い
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