創業350年以上の歴史を誇る森六ホールディングス。独自の樹脂成形技術による自動車内外装部品メーカーと、化学製品の専門商社という2つの顔を持つ。19年6月には栗田尚新社長が就任し、時代の進化に対応しながら400年企業を目指している。
時代の変化に応じて
商いの幅を広げる
森六ホールディングスの前身は江戸初期の1663年、阿波国(現・徳島県)で創業。藍染めの原料である地元特産の藍(あい)と、その肥料などを扱う商家だった。
明治に入って海外の安価な藍が流入すると、インド藍の輸入販売を開始。ほどなく合成染料事業に着手し、魚を原料とする肥料から化学肥料、化学製品に商いの幅を広げるなど、変わりゆく時代のニーズに対応しながら最新の商材を取り扱ってきた。この“機を見るに敏”な取り組みが、激動の時代を350年にわたって生き抜いてきた森六のDNAだといえる。
変化を恐れず、大胆に転身した象徴的な出来事が、自動車部品製造への参入だ。1950年代、本田技研工業(ホンダ)の創業者である本田宗一郎氏の一言から、ホンダが開発した二輪車「スーパーカブ」の大型レッグシールド(水よけ・泥よけ部品)を樹脂化することに成功した。以来、自動車部品製造が事業の大きな柱となる。
現在、傘下に自動車部品製造の森六テクノロジー、化学商社の森六ケミカルズを置く。2017年12月に東証1部上場を果たした。
栗田 尚 (くりた・たかし)
t o p i n t e r v i e w
真のグローバル化と多様化を追求し
持続的な成長を目指します
メーカーと商社という2つの顔を持っているのが、森六の大きな特徴です。グループ内で原材料の開発から調達までできる自動車部品メーカーはそう多くありませんし、“ものづくり”の強みを持つ化学商社というのも希有な存在です。両事業のシナジーによって、他社には真似のできないユニークなビジネスを展開できるのです。
しかも海外売上比率は約6割と、名実ともにグローバル企業と呼ぶにふさわしい実績を上げています。
今年6月に社長に就任しましたが、これまで北米で17年間ビジネスに携わってきた経験をもとに、今後さらなる事業のグローバル化と、次世代モビリティの普及など市場の変化に対応した多様な人材獲得を進めます。成長を持続させながら、2063年の創業400年を迎えることが目標です。