腕時計の世界で、今、注目したいのが、時代を超えて輝く過去の名作の復刻モデル。オリジナルの魅力はそのままに、最新の技術で機能や使いやすさが格段に進化した“復刻版”が各社から続々と登場している。その中でも特にお薦めしたいのが、50代以上の世代にとっては懐かしく、それ以下の世代には新鮮なラドーの名作「ゴールデン ホース」。その魅力をご紹介しよう。
ヴィンテージデザインへのオマージュ
不要な装飾やモディファイは一切なし
「ゴールデン ホース」は、時計界の素材&デザイン革命をリードしてきたラドーが、1957年に発表した最初の腕時計の一つであり、50代以上の日本人にとっては“伝説の腕時計”だ。翌58年から日本で発売が開始され、視聴者参加型の人気クイズ番組で賞品として提供されていた時期もあり、その名はこの世代の人々の記憶にしっかりと刻まれている。この記事を読んでいる人の中にも、「最初に知ったスイス製高級時計はこれだった!」という人がいるかもしれない。
さらに「ゴールデン ホース」はスイス時計の歴史の中でも腕時計の普及に貢献した画期的なモデルとして特筆すべき存在だ。それまでの腕時計はゴールドやプラチナなどの貴金属素材で作られた高価なものばかり。ステータスシンボルであって、気軽に着けられるものとはいえなかった。
しかしステンレススティールをケースやブレスレットに採用した「ゴールデン ホース」は、この常識を変えた。折り目正しくスポーティーなデザインと、毎日安心して着けられる優れた防水性や耐久性で「着ける人のパーソナリティーを表現するファッションアイテム」という腕時計の新しい姿を提示し、時計の常識を変えたのである。
そして今秋、その名作が、復刻モデル「ラドー ゴールデン ホース 1957 リミテッド エディション」として現代によみがえった。
最大の魅力は、不必要な装飾を廃しオリジナルに忠実なこと。文字盤のカラーやインデックス、針の形状。さらに12時位置の回転するいかりマーク。6時位置の「Golden Horse」の文字フォント。3時位置のカレンダーディスクの背景や文字の色……。どれも57年のオリジナルそのままだ。
またカーフレザーストラップも型押しで、クロコダイルの脇腹部分を使った当時のデザインを再現。さらに、ねじ込み式のケースバックとその上に刻まれた3つのシーホース(タツノオトシゴ)と3つの星もオリジナルと同じ意匠。つまり、オリジナルのテイストが、60年の時を超えてそのままに楽しめるのだ。