早い・安い・簡単で
加盟店数は40倍に
そこで董社長はある決断をする。「日本美食」というブランドで提供していた飲食店向けサービスのうち、決済サービスだけを切り出して「TakeMe Pay」という新たなブランドを作り、飲食店以外の事業者にもサービス提供を開始したのだ。
この戦略が奏功し、この1年で加盟店は約1000から4万2000超(契約ベース)と40倍超に増えた。
TakeMe Payの最大の特徴はマルチ決済サービスだ。19年6月末時点で中国系のアリペイやウィーチャットペイ、国際系のペイパルやアップルペイ、国内系のLINEペイやペイペイなど世界20種類の決済サービスに、たった一つのQRコードを用意するだけで対応できる。
通常、加盟店がスマホ決済を複数導入しようとすると、各社と個別に契約し専用の端末が必要になる場合もある。また各社でオペレーションも違うため、加盟店にとっては従業員のトレーニングや売り上げの管理業務が複雑となり負担になる。だが、日本美食と契約してTakeMe Pay を導入すれば、個別に契約する必要はなく、オペレーションを一つにまとめることができる。専用機材は不要で、QRコードを印刷したスタンド一つあればいい。決済手数料は3%と、一般的なカード決済手数料と比べて安い。加盟店が急増しているのもうなずける。
牛カツ専門店の「京都勝牛」もそんな加盟店の一つだ。同店では昨年まで現金決済しか受け付けていなかった。「当時は現金を持っていないインバウンドのお客さまとの間でトラブルになることもありました」。運営会社であるゴリップの金栄鶴マーケティング部部長は、そう振り返る。
同社にとってスマホのキャッシュレス決済は喫緊の課題だったが、新規参入で決済サービスが乱立する中、一つに絞り込むのはリスクがあった。そんなとき見つけたのがTakeMe Pay だった。「初期コストがかからず、契約してから1~2週間で導入できた。導入後はお客さまの満足度が上がって、これまで取りこぼしていた売り上げを取れるようになりました」(金部長)と好評だ。