カー用品販売で国内2位のイエローハット。売上高こそライバルの後塵を拝しているが、純利益はライバルの約1・3倍(19年3月期)と圧倒的な収益力を誇る。増収とともに9期連続の増配を果たし、シェア拡大戦略によって今後も成長路線をひた走る。
苦境を乗り越え
10期連続増収を達成
イエローハットは1961年、個人商店としてガソリンスタンドおよび小売店へのカー用品卸売業を開始。75年に「イエローハット」直営1号店を栃木県宇都宮市にオープンした。
以来40年余りで「イエローハット」は国内730店までに拡大した。ほかにバイク用品専門店「2りんかん」、バイク販売店の「バイク館SOX」、格安タイヤ・ホイール専門店「トレッド」などを展開し、グループ総店舗数は国内837店、海外4店に上っている(19年7月末現在)。
カー用品小売のほか、「イエローハット」のフランチャイジー、ホームセンターなどへの卸売も行い、不動産賃貸事業も手掛ける。
2000年代に入って、ホームセンターや自動車販売、介護用品販売などの新規事業に相次いで参入したが、本業との相乗効果が得られず、08年3月期に営業赤字に転落。同年9月に発生したリーマンショックによる金融危機の影響で、銀行から借入金の返済を求められるという苦境も経験した。
だが、同年10月に就任した堀江康生代表取締役社長が新規事業の清算とカー用品への専念という方針を打ち出し、就任時の公約どおり10年3月期に最終黒字を達成。また、就任以来10期にわたって増収を続け、19年3月期は売上高、営業利益、経常利益、当期純利益のすべてで過去最高を更新した。
t o p i n t e r v i e w
地方の社会生活基盤を支えながら
成長を持続していきます
「若者のクルマ離れ」ということがいわれて久しくなります。たしかに新車販売台数の減少とともにカー用品の販売も年々落ちていますが、一方で公共交通機関があまり充実していない地方の人々にとってクルマは必需品であり、タイヤをはじめとする消耗品や車検・メンテナンスなどの需要がなくなることはありません。
にもかかわらず、経営者の高齢化などの理由で小規模のタイヤショップや自動車整備工場などは廃業のケースが見られます。
当社は、都市部だけでなく地方にもさらに積極的に出店することで、地方の経済や暮らしをカーライフの側面から支える“社会インフラ”としての役割を担いながら成長を持続していきます。