中期経営計画「The TOP 2021」を始動させた昭和電工。いったいどんな将来像を描き、そこに向けてどのような道筋を進もうとしているのか。中計実行のキーパーソンである戦略企画部長の和久津英史執行役員に話を聞いた。
昭和電工 執行役員 戦略企画部長
和久津英史
わくつ・えいし/1962年生まれ。慶應義塾大学法学部卒業。86年昭和電工に入社、主に企画業務に従事。2019年より現職。
和久津英史
わくつ・えいし/1962年生まれ。慶應義塾大学法学部卒業。86年昭和電工に入社、主に企画業務に従事。2019年より現職。
「今回の中期経営計画は、従来とは異なる視点で作りました」
昭和電工執行役員で戦略企画部長の和久津英史氏はそう振り返る。
まず企業として、現在の延長線上ではない将来像を描き、そこに向けた各事業部の位置付けと期待することを明確に示した。前中計で高めた稼ぐ力を使って、成長のサイクルを回す方針を掲げている。
「投資を成長に結びつけるためには、高い目標とその達成の両方が必要です。良い意味で社内に緊張感が生まれ、中計の達成に向けて組織が非常に活性化していると感じています」
同社が将来像として目指しているのは「個性派企業」。これは適正規模の市場でトップシェアを安定的に獲得できる「個性派事業」の連合体のこと。それを実現するための手段と位置付けているのがカスタマーエクスペリエンス(顧客体験価値)の最大化だ。
「かつては単一の素材の技術を磨き、機能を高めることで、お客さまに満足いただくことを目指していました。しかし今は自動車の電動化や5Gの普及など大きな変化の波が社会に押し寄せており、お客さまのニーズが高度化・複雑化しています。われわれはただ素材を供給するだけではなく、よりお客さまの立場に立ったマーケットインの発想で、お客さまの望むソリューションの提供を目指しています。そのために必要な視点がカスタマーエクスペリエンスの最大化なのです」