パソコンの操作ログを独自開発のAIで分析し、今まで見えていなかった社員の業務や働き方を“視える化”するサービスが、NTT西日本の「おまかせAI 働き方みえ~る」だ。パソコン上での、重複している業務や繰り返し業務などを可視化することで、業務改革や生産性向上を支援するのが狙い。同時に、IT資産管理やセキュリティーリスクも可視化できる。
「働き方改革」が求められる中、中小企業においても労働時間の短縮や多様な就業形態の導入、仕事と生活(育児・介護・治療)の両立が喫緊の課題となっている。2020年4月からは大企業に続いて中小企業にも「時間外労働の上限規制(原則として月45時間・年360時間)」が適用される予定だ。これまで以上に業務の効率化や生産性向上に向けた対策が必要になっている。
しかし、「何から手をつければいいのかわからない」「会社の規模が大きくなり、社員がそれぞれ今どんな仕事をどのくらいしているのか、業務の実態が把握できていない」「RPA(業務効率を支援するソフトウェア型ロボット)に興味はあるが、当社のどんな業務に適しているのか」といった悩みや疑問を抱えている経営者は多いのではないだろうか。そんな声に応えるサービスが、NTT西日本の「おまかせAI 働き方みえ~る」だ。
効率化できる業務をより見つけやすく
このサービスは、社員が業務に使っているパソコンの操作ログをクラウドへ送信し、AIで自動分析を実施。そのデータを基に、パソコン上での社員の業務や働き方を“視える化”して「分析レポート」を作成し、専用Webサイトで定期的に提供するというもの。今の仕事はその多くがパソコン作業と連動していることから、ログの解析によって社員のパソコン業務の内容が可視化できるようになったという。
AI分析には、NTT西日本グループのNTTスマートコネクトが独自開発したAI(特許出願中)を利用。独自のアルゴリズムを用いて、後述するように社員の繰り返し業務のパターン化などを実現している。
最大の効果は、今まで見えていなかったパソコン上での社員の業務や働き方の実態が分析レポートで明らかになることによって、効率化を図るべき業務をより見つけやすくなること。その結果、仕事の偏り解消や定型作業の時間・回数の削減、RPA導入といった業務の改革や効率化を図ることが可能になるわけだ。
社員のパソコンに専用ソフトウエアをインストールすることで手軽に導入できるのも、中小企業にとってはメリットの一つに挙げられるだろう。
分析ページでは「4つの視える化」を実現
では、分析レポートの中身を詳しく見ていこう。
トップページにはその月の注目すべきトピックをまとめて掲載。上部の青いエリアは「同業同規模の他社との比較」で、「確認する」をクリックすると項目ごとに表示されている評価、数字などの根拠となるグラフや情報を閲覧することができる。同業他社と比べることで「業務の効率化によって、このくらいの利益向上の可能性がある」といった分析にも活用できる。
その下の「当月のトピックス(◯月のここに注目)」には、業務時間や繰り返し作業、印刷作業などの項目ごとに業界平均や前月実績との差が大きいものがAIによって自動抽出される。例えば、◯月の業務時間は、他社平均の半分以下で、「1人当たり101.7時間/月(5.1時間/日)」という具合だ。
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続く分析ページでは、「4つの視える化」を実現している。