まず1つ目は「勤務実態(業務時間)の視える化」。パソコンの使用状況を、操作ログを基に視覚化し、いつどんな作業をしているかを客観的に把握することができる。「1人当たりの平均業務時間」「総業務時間」「前月比(前月と比較した総業務時間の増減数)」が表示され、さらにその中身を、「繰り返し業務」と「PC作業時間(繰り返し業務を除く)」「PC作業をしていない時間」に分類し、グラフ化している。
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繰り返し業務とは、例えば「エクセルから会計システムへデータを繰り返しコピーしている」といったように、同じ作業を繰り返し行っている時間を指す。さらに「社員別の業務時間内訳」や「月ごとの変化」もわかる。
2019年4月に施行された働き方改革関連法では「客観的方法による労働時間の把握義務」が定められたが、この機能を活用すれば社員が業務時間外にパソコンの操作(業務)を行ったかどうかも客観的に把握できる。
繰り返し業務の効率化のサポートに
2つ目は「業務内容(繰り返し業務)の視える化」で、繰り返し業務の経月変化や総作業時間に対する割合を確認できる。具体的には「業務時間全体と比較した時の割合」「総繰り返し作業時間」「前月の時間比」が表示される。
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グラフは、繰り返しパターンごとの割合を表したもの。AIが作業内容を確認し、過去に同じ繰り返しパターンがあった場合は同じ番号(パターン1など)が振られ、ない場合は新しい番号が振られる。
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さらに、繰り返しパターンごとの「作業時間や回数」「月ごとの変化」「繰り返し業務を実施した社員ごとの作業時間」なども見ることができる。
こうした業務内容の視える化によって、業務の偏りの是正や繰り返し業務の効率化の検討が可能になる。例えば、同じ繰り返し業務を7人が並行してやっていた場合は、「7人分の業務をRPAで自動化する」「業務を分担せずに専任担当者1人で担当する」「対象となる業務を丸ごとアウトソーシングする」などの対策が考えられる。その中から最も効率的な方法を選べばいいわけだ。
この他、属人化されている業務を特定し、本人にヒアリングしてRPA化を検討したり、複数の社員が印刷作業に時間をかけすぎている場合はタブレットの導入を検討したりすることが可能になる。
現場では「何となく非効率な作業だな」と気づいていても、改善案の費用対効果を示すことができず、幹部の合意が得られないというケースも少なくない。だが、AIによるログ分析によって課題が定量的に把握できるようになるため、幹部の理解も期待できる。例えば、印刷作業に「4人が1カ月で33時間(年間約400時間)」かかっていることがわかれば、「400時間×人件費」と「タブレットの導入コスト」との比較によって、タブレットの利用が生産性向上につながる根拠を示すことができるかもしれない。