“製造立国ニッポン”を支える
アルミニウム素材メーカーの実力

UACJ 石原美幸社長 × 森永卓郎氏

 その縁で実現したのが、今回の福井製造所訪問だ。福井製造所は鋳塊の製造からアルミニウムを高温に加熱して行う熱間圧延、冷間圧延、仕上げ加工に至るまでを一貫して行っている日本最大級のアルミニウム圧延板の供給基地。巨大設備を見学した森永氏は、特に全長400メートル、幅4.3メートルの世界最大級の「熱間粗圧延機に興奮した」と言う。

「この圧延機には板厚を自動で制御するAGC(自動板厚コントロール)システムが導入されているため、ほとんどの場面で人手を必要としていないのです」(石原社長)

「自動的に圧延を繰り返しながら400メートルの雄大なラインをアルミ板が流れていくところがすごい」(森永氏)

“製造立国ニッポン”を支えるアルミニウム素材メーカーの実力UACJの阿部禎一・福井製造所長(左)から熱間粗圧延機の説明を受け、森永氏は完全自動制御の機械にしきりに感心

 ここで生産されたアルミニウムはLNGタンカー造船用部材、自動車用部材、航空宇宙用途などにも使われるが、主力は飲料缶だ。森永氏は缶コレクターとしても知られており、その立場からも飲料缶の需要増を実感している。

「40年ほど前から飲料缶を集めているのですが、アルミ缶が増え続けてきた歴史でした。アルミ缶だとコレクションがさびないんです(笑)」(森永氏)

「飲料缶は、形状がどんどん複雑になっています。例えば肩と口の部分を絞った形の飲料缶は、多段階で缶に成形してから口の部分にネジを付けるため、生産性が高くて不良品を出さない素材が求められます。当社のR&Dセンターでは約1000種類の素材を開発しており、お客さまに最適な素材を提案しています。これができる点も当社の強みだと思います」(石原社長)

 アルミ缶はリサイクル率の高さでも優等生だ。アルミ缶のリサイクル率は93.6%に達する。また、アルミ缶からアルミ缶に再生利用される割合である「CANtoCAN」率も71.4%と高い。

「海洋プラスチック問題が深刻化していますが、アルミ缶の利用が進むことで解決の一助になると考えています」(石原社長)

※アルミ缶リサイクル協会2018年度調べ
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