豊洲市場で水産物卸売業務を手掛ける業者の中で、唯一の東証1部上場企業である東都水産。築地市場の開場とともに設立し、以来80年以上の歴史を誇る。磨き上げた“大卸(おおおろし)”としての経験をもとに、水産物消費が拡大する海外市場の開拓にも積極果敢に挑んでいる。
どんな会社?
関東一円をカバーする流通ネットワークを形成
東都水産の前身である東京魚市場は、1935年「東京の台所」として知られた築地市場の開場とともに設立。戦時中は統制会社に統合され、48年に東都水産として業務を開始した。水産加工メーカーなどのグループに属さない独立系の水産物卸売業者として80年以上の歴史を誇る。
農林水産省と東京都から、豊洲市場における“大卸(卸売業者)”との認可を受け、国内全域および世界各地から集荷した生鮮・冷凍魚介類や水産加工品を、仲卸業者や市場参加者などに販売している。
現在、豊洲市場には7社の大卸があり、そのうち4社が株式上場しているが、東証1部に上場しているのは東都水産のみである。
事業の柱である水産物卸売は、生鮮・冷凍マグロ全般を扱う大物部、その他の鮮魚・養殖魚などを扱う鮮魚部、寿司ダネなどに使われる業務用高級魚や貝類を扱う特種部など、魚の種類、生鮮・冷凍の違い、加工の度合いに応じて各部門が対応している。
また、関連会社の埼玉県魚市場、千葉魚類、川越水産市場がそれぞれの地域で卸売業に携わっており、豊洲市場を中心に関東一円の流通ネットワークを形成している。
卸売以外では、冷凍倉庫事業や海外における水産物の買付・加工・販売事業も展開。カナダのバンクーバーを拠点とする海外子会社のエアロ・トレーディング社(以下、ATC社)は、サケ、ニシン、ギンダラなど多様な魚類・品目を扱う同国でも有数の水産加工会社であり、欧米や中国など世界中に加工品を輸出している。
このほか、社宅などの自社物件をマンションや貸しビルなどにリノベーションして賃貸する不動産賃貸事業も行っている。
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ワンランク上の対応ができる水産物流通企業を目指します
東都水産 代表取締役社長 江原 恒(えはら・こう)
当社は、「消費者の皆様の豊かで魅力的な食生活を第一義に考え、その満足度向上に貢献すること」をミッションに、「ワンランク上の対応ができる水産物流通企業」を目指すことをビジョンに掲げています。世界有数の魚食文化を誇る日本の食卓に、水産物はなくてはならない存在です。水産物卸売は公益性の高い仕事であり、品質や鮮度を保証するための評価機能や、必要とされる大量の水産物を市場にタイムリーに供給する集散機能など、水産物卸売業者としての“付加価値”に、今後ますます磨きをかけていきたいと考えています。
食のニーズは時代とともに移り変わるものですが、あらゆるニーズに柔軟に対応し、海外のニーズも積極的に取込みながら成長を目指します。