3度目の「万博」開催と臨海部開発の行方

週刊ダイヤモンド別冊 「五輪・万博・リニア ビッグプロジェクトで変わる街」発
花博の開催に合わせて「京橋」「鶴見緑地」駅間が1990年3月に開業した鶴見緑地線。1997年までに「門真南」「大正」間まで延伸され路線名も長堀鶴見緑地線に。会場入り口となった「鶴見緑地」駅(大阪市鶴見区)花博の開催に合わせて「京橋」「鶴見緑地」駅間が1990年3月に開業した鶴見緑地線。1997年までに「門真南」「大正」間まで延伸され路線名も長堀鶴見緑地線に。会場入り口となった「鶴見緑地」駅(大阪市鶴見区)

大阪市制100周年の翌年にゴミ処理場跡で開催された花博

 大阪の市制施行は1889(明治22)年のこと。最初は東西南北の4区が置かれた。市域は15.3㎢で、いまの平野区とほぼ同じ面積である。それが現在では24区で225.2㎢まで広がった。

市内最大規模の花博記念公園鶴見緑地に残る花博記念ホール市内最大規模の花博記念公園鶴見緑地に残る花博記念ホール

 1990年、大阪市制100周年の記念行事が格上げされるような形で国際博覧会となり開催されたのが花博である。会場となった鶴見緑地は、大阪市鶴見区と門真市にまたがる大阪市内では最大規模の公園だが、かつては残土処理などと合わせてゴミの処理場だった土地である。

 ここを環境再生の例として万博会場にしたのは大阪の知恵だろう。開催後は花博記念公園となった。元ゴミ処理場で同様に公園化された例には、イサム・ノグチが設計して全国的な知名度を誇るモエレ沼公園(札幌市東区)、そして夢の島公園(東京・江東区)などがある。

地下鉄の開通に伴い、大型マンションが多数建てられた(2006年開業のイオンモール鶴見緑地の周辺)地下鉄の開通に伴い、大型マンションが多数建てられた(2006年開業のイオンモール鶴見緑地の周辺)

 町工場が多く、市街地の整備が課題となっていた市内東部の開発に、この万博も寄与している。会場までJR大阪環状線「京橋」から地下鉄が引かれた。沿線には高層マンションも建てられ、都心に近い新しい住宅街となった。

 大阪市東部の交通網整備はその後も連綿と続いている。地下鉄8番目の路線として、「井高野」(東淀川区)と「今里」(東成区)を結ぶ今里筋線が2006年末に開業した。「今里」から先、「湯里六丁目」までの延伸計画もあるが、開業時から赤字が続いていることもあって、BRT「いまざとライナー」による社会実験で、延伸の可否を見極めようとしている。

 貨物線を旅客化したおおさか東線は、08年に「放出(はなてん)」(鶴見区)「久宝寺」(八尾市)間が開業、19年には「放出」から「新大阪」(淀川区)に延伸された。「新大阪」から梅田貨物線経由で、うめきた2期の地下に23年開業予定の「北梅田(仮称)」への延伸も進められている。

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