3度目の「万博」開催と臨海部開発の行方

週刊ダイヤモンド別冊 「五輪・万博・リニア ビッグプロジェクトで変わる街」発

使命は「臨海部開発」
大阪3度目の万博

2025年開催予定の「大阪・関西万博」会場予定地の夢洲2025年開催予定の「大阪・関西万博」会場予定地の夢洲

 大阪市の臨海部には咲洲(南港地区)・舞洲(北港北地区)・夢洲(北港南地区)という3つの人工島がある。このうち2025年大阪・関西万博の会場予定地が夢洲。85年から廃棄物の受け入れを始め、現在はコンテナターミナルがあるが、大部分は未整備のままだ。

2008年五輪メイン会場としても想定された舞洲。多数のスポーツ施設や大阪市環境局舞洲工場などがある(以上、大阪市此花区)2008年五輪メイン会場としても想定された舞洲。多数のスポーツ施設や大阪市環境局舞洲工場などがある(以上、大阪市此花区)

 咲洲にはニュータウン「南港ポートタウン」(住之江区)が1977年に街びらきされている。真ん中を通る南港ポートタウン線(ニュートラム)の開業はその4年後のことだ。95年開業の東京臨海部を走るゆりかもめよりだいぶ早い。大規模な臨海部の開発では大阪が先行していたのだ。

 同じ咲洲にあるコスモスクエア地区にはWTC(現・大阪府咲洲庁舎)とATCが95年に造られている。バブル経済の頂点である89年に策定されたテクノポート大阪計画では、国際交易、高度情報通信、先端技術開発の3機能を備えた新都心をベイエリアに生み出す予定だった。そのための起爆剤が、ここにメイン会場と選手村を設ける2008年開催の五輪大会だったが、01年の開催都市決定で北京に敗北、計画は頓挫した。

大阪南港の咲洲(大阪市住之江区)。1981年開通の南港ポートタウン線(ニュートラム)が横断する南港ポートタウンの街びらきは1977年のことだった大阪南港の咲洲(大阪市住之江区)。1981年開通の南港ポートタウン線(ニュートラム)が横断する南港ポートタウンの街びらきは1977年のことだった

 今回の万博開催決定で、臨海部開発の夢がつながった。夢咲トンネルは開通しており、会場までの交通手段の整備がこの5年間で行われる。カジノも入る統合リゾート(IR)が持続的な万博後の施設利用の前提となるが、この点はまだ決まっていない。

 ちなみに、47都道府県で面積が最小だった大阪府は、1998年、香川県を抜いた。その4年前に開港した関西国際空港で面積が増え、香川は江戸時代からの領地紛争に敗れ面積が減った結果だった。

3度目の「万博」開催と臨海部開発の行方

2020年の新春トレンドはこれ!

「週刊ダイヤモンド」別冊
2020年1月18日号
五輪・万博・リニア
「ビッグプロジェクトで変わる街」

新着
業界
学び
特集
書籍
業界
製造業 銀行・証券・金融 保険 建設・不動産 コンサル・士業 商社 運輸・物流 IT・通信 AI・テクノロジー エネルギー 医療・製薬 食品・農業 小売・外食 サービス・エンタメ メディア・広告 スタートアップ・新規事業 教育 財閥・学閥 予測・分析
学び
経営・戦略 マネジメント ビジネス課題 ビジネススキル 営業・マーケティング マネー・投資 相続・節税 年金 キャリア・働き方 受験・子育て 教養