FIT(固定価格買取制度)終了後、電力会社への売電価格が大幅にダウンしたことで各家庭では今一度、電力の使用状況の見直しが必要となった。つまり、太陽光発電の余剰電力は売るよりも自家消費した方がお得になったのだが、自家消費する場合は余った電気をためておく蓄電池を購入する必要がある。そこで今注目されているのが、電気自動車(EV)の「日産リーフ」を蓄電池として活用する方法だ。なぜ日産リーフが選ばれているのか、その理由を見てみよう。
FITとは、太陽光発電をはじめとした再生可能エネルギーの余剰電力を、固定価格で10年間にわたって電力会社が買い取る制度のこと。2009年から買い取り制度により売電を始めた世帯から順次終了している(卒FIT)。資源エネルギー庁によると、いわゆる「卒FIT」件数は、19年11~12月だけでも約53万件、23年には累計で約165万件に上る見込みとなっている(資源エネルギー庁「住宅用太陽光発電設備のFIT買取期間終了に向けた対応」より)。
売電価格が約5分の1に下落、自家消費する方が経済的に
買い取り期間終了後は、引き続き余剰電力を電力会社に売電するか、自家消費するかを選択できるのだが、お得なのはいうまでもなく後者の「自家消費」である。なぜなら、買い取り期間終了後の売電価格は大きく下がってしまうからだ。例えば、それまでの48円/kWh(固定価格買取制度における09・10年度の単価)から10円前後/kWh(20年1月時点の単価)へと、およそ5分の1になる。
東京電力への売電価格は8.5円/kWh(20年1月時点)。それに対して、最も多くの人が契約しているプランの電力料金は26円/kWh(※1)。余剰電力は電力会社に売電せず、自分の家で使った方が電力料金を節約できて経済的だ。
売電価格は年々下降傾向に、逆に電気料金は年々上昇傾向にある。こうした状況を踏まえると、今後はこれから太陽光パネルを設置する人も含めて自家消費を選ぶケースが増えていくことは間違いないだろう。
ただし、自家消費するためには余剰電力をためておく蓄電池が必要となる。家庭用には「定置型蓄電池」があり、新たに購入する必要がある。そこで注目され始めたのが、蓄電池として活用できるEVの「日産リーフ」というわけだ。
※1 東京電力 従量電灯B(第二段階料金)