データ分析で運び方改革
持続可能な物流を構築する

山梨県を拠点に全国に輸送サービスを展開する丸市倉庫。自社開発の在庫管理システムや配車マネジメントシステムで荷主の業績に貢献、同時に持続可能な物流を提案している。

物流のデータから
運び方を提案

 山梨県甲府市に本社がある丸市倉庫。創業は1949(昭和24)年、製糸業の衰退で空いたスペースを倉庫に転用するところから事業が始まった。大手の物流会社と違って倉庫の規模も小さく、車両や人材も限られている。事業を受け継いだ3代目の堀内信社長は、そのハンディを発想の豊かさでカバー。まずは、山梨県からの全国配送を実現した。

データ分析で運び方改革持続可能な物流を構築する丸市倉庫
堀内 信 代表取締役社長

「一言で言えば、今でいうシェアリングエコノミーです。トラックやドライバーをそろえる力がなかったので、全国の倉庫や運送会社と地道にアライアンスを組み、緻密に物流をデザインしていきました。荷主からの受注データを基に、納期やコストを考えながら、最適な運行計画を策定する。輸送モードには、物量によって貸切便や混載の路線便などがありますが、積載効率を考えながら最適な選択を行い、物流の効率化を図ったのです」と堀内社長は明かす。

 同社が物流を通して実現したいのは、最終的に荷主の業績を上げることである。だが倉庫のデータを管理する中で、大きな課題に気が付いた。過剰在庫の問題である。

 仕入れが滞ると欠品が発生するが、仕入れが多過ぎると過剰在庫になる。欠品を恐れてマックスの状態で倉庫を借りると、物流費がかさんで経営が圧迫され、「物流費を下げてくれ」という要求が来てしまう。その問題を解決しないと共倒れになる恐れがあった。 

「物流のデータを分析すると、納品先ごとの特性が分かります。言葉を換えれば、商品の売れる時期の傾向が分かる。そこで、物流データの傾向をまとめて荷主にレポートを提出、補充発注のスキルを使いながら、在庫の最適化を提案するようにしたのです」(堀内社長)

 つまり、物流現場の出荷予想から最適な製造計画を立てることの提案である。

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