清掃ロボット「Whiz」とは
1時間でテニスコート
2面分の広さを徹底清掃する
ソフトバンクロボティクスのAI清掃ロボット「Whiz」は、人手不足と清掃品質の低下、清掃員の高齢化といった清掃業界が抱える課題解決に役立つツールだ。カーペットなどの床の清掃を目的とする乾式バキュームクリーナーを内蔵している。
常務執行役員 兼 Chief Business Officer
吉田健一
導入のハードルは案外低い。同社は、ダスキンなどのパートナー企業を通じて、契約期間も契約解除料もなく「Whiz」を利用できる清掃サービスパッケージを提供している。ダスキンの「小・中規模施設向け清掃サービスパッケージ」を選んだ場合、1週間の清掃トライアル、導入支援(導入時のロボットティーチング・チューニング、利用方法の説明)、定期メンテナンス(消耗品の提供、交換を含むロボットメンテナンス)というサービスが利用できるため、お試しから始まり、従業員への使い方研修、ごみをためる紙パックの交換・補充まで、全て任せることができる。
清掃対象の床には、ハードフロア(タイルなどの化学床材)とソフトフロア(カーペットなど)がある。「Whiz」はどちらにも使えるが、「ハードのタイルは汚れがはっきり分かるので清掃スタッフの目が届きやすいのですが、ソフトフロアは見た目では分からない。そこにロボットを導入すると、カーペットの根元に隠れたごみまできれいに取ることができます」(吉田常務)。
そこで清掃員は「Whiz」にソフトフロア掃除を任せることで、自身は人の手でしかできない部分の掃除に専念できるようになる。開発の目的も人の置き換えではなく、人とロボットの共存にある。
記憶した複数のコースを
自動運転で静かに清掃
「Whiz」の大きさは、高さ約65センチメートルセンチメートル、幅は約45センチメートル。意外に小柄だ。フロアを"一人"で掃除をしていても違和感のない優しいデザインは「2019年度グッドデザイン賞」を受賞した。
1回の充電で最大約3時間の長時間運転ができ、約1500平方メートルを掃除する。1時間ならテニスコート2面分(500平方メートル)が「ムラ」なくきれいになる。
走行速度は最高1.8キロメートル/時。自動運転の技術による自律走行のため、障害物があればいったん停止してから避けて進むし、衝撃検知や段差センサーなどによる異常検知も行う。掃除中に人にぶつかることはない(人の方からぶつかっていってもけがをしにくい形状)し、階段から転落することもない。走行音も掃除中の音も静かで、ほとんど気にならない。
操作は、最初に清掃コースを覚えさせれば、2回目からはボタンを押すだけで動きだす。複数のコースを記憶するので、どこに連れて行っても手間がかからないため、「ITにあまり強くない人でも問題なく使いこなせる」(吉田常務)という。
人に優しくて力持ち。この頼もしい"新人"は、年配者が多い清掃業界にもなじむことだろう。
●清掃効率を最大化する最先端の独自AI
導入も使い方もかんたん
まずは、清掃したいルートを手押しでティーチング。2回目以降は、スタートボタンを押すだけで記憶したルートを自律清掃する。複数ルートも記憶可能。
スマートAI搭載
複数のセンサーで、走行ルート上の障害物や段差、人の動きを検知。状況に応じた回避や一時停止を行う。
最高ランクの清掃効率
1回の充電で、最大約3時間の長時間運転により約1500平方メートルをカバー。高精度のセンサーで壁際までしっかり清掃する。
かんたん管理
管理アプリケーション「Whiz connect」により、スマートフォンやパソコンから遠隔管理できる。緊急停止時や走行不能時にはお知らせブザーやアプリに通知。