躍進するインドを持続的成長の糧に
※ICD(Inland Container Depot)
その鴻池運輸グループが今、新たな成長エンジンとして熱い視線を注いでいるのがインドだ。もともと、日系物流企業として初めてベトナム進出を果たすなど海外志向の強い同社だが、19年4月にインド統括本部を設けるなどインド事業の拡大に力を入れている。
鴻池社長は「インドは現在、購買力平価GDPで中国、米国に次ぐ世界3位ですが、30年には米国を抜いて2位に浮上すると予測されています。人口に至っては30年には中国を抜いて世界1位になることが確実視されています。客観的なデータから見ても、最大の伸びしろはインドです」と強調する。
同社がインドで展開している事業は貨物鉄道事業と医療関連事業の二つ。
貨物鉄道事業では、現地企業との合弁会社を通じて17年からCTO(鉄道コンテナ輸送事業)をスタート。また19年3月からはAFTO(完成車の鉄道輸送事業)も開始した。
インドは英国統治が長かったこともあり、新興国の中では比較的、鉄道インフラが整備されている。現在はまだ、トラックが物流の主役だが、広大な国土面積を考えると、将来的に貨物鉄道への依存が高まってくることは確実だ。
また、日本政府がODA(政府開発援助)で支援しているDFC(インド貨物専用鉄道建設計画)が完成すれば、デリーとムンバイの主要都市間が貨物専用線で結ばれることになり、定時運行などサービスレベルが飛躍的に向上する。
「目先の収益というよりも、もう少し長い目線で将来への布石を打っています」(鴻池社長)
持続的な成長を続けていくための先行投資という“100年企業”らしい考え方が、垣間見える。