マルチクラウド戦略で
顧客に最適な提案を
それぞれの産業向けのソリューション開発にも注力している。顧客の現場に入り込んで事例を積み重ね、これらをソリューションとして整理することで低コスト化とリードタイムの短縮を図る方針だ。
「お客さまごとに環境の違いがあるので、型通りのソリューションを提供する形にはならないでしょう。カスタマイズが必要となりますが、その点も、一緒に工夫していきたいと考えています」と藤長氏は説明する。
ソフトバンクの優位性はデバイスとネットワークを統合して提供できること。加えて、近年強化してきたマルチクラウド戦略の強みを生かせる点も重要だと藤長氏は指摘する。
「当社のネットワークは、Amazon Web Services(AWS)やMicrosoft Azure(以下Azure)をはじめ、世界の主要クラウドとダイレクトに接続しています。その優位性を生かし、お客さまに最適なクラウドを提案できます。そのための、各クラウドに特化したノウハウも集積してきました」
5G時代、膨大なデータを収容・分析する基盤としてクラウドは必須だろう。ソフトバンクは、Azureのパートナー認定プログラムの最高位である「Microsoft Azure Expertマネージドサービスプロバイダー(MSP)」と、Azureのネットワークサービスに特化したパートナー認定プログラム「Microsoft Azure Networkingマネージドサービスプロバイダー」の認定パートナーだ。二つの認定を取得したのは、日本の企業で初めてで、世界でもソフトバンクを含めて数社しかない。
また、ソフトバンク・ビジョン・ファンドが投資するスタートアップとの連携も、今後、大きな差別化ポイントになるだろう。
「私たちは従来、通信事業者としてお客さまと向き合ってきました。今後は関係性をさらに深めて、ビジネスの課題を共に解決していきたい。5Gを機に、ソフトバンクは大きく変わります」と藤長氏は言う。実証実験のパートナー企業は、すでにその変貌ぶりを実感しているに違いない。