月額2万9800円から、最短5日間ですぐ使える

海外拠点の「見える化」でビジネスを成功に導く――異なる言語や通貨、会計基準に対応するクラウド型国際会計・ERPサービスプロダクト事業本部 米国公認会計士
春山雄一郎

 ビジネスエンジニアリングでは、これまで海外に進出する中堅企業向けに自社開発したERPを展開してきたが、オンプレミスのシステムには大きな投資が必要になる。だが、海外拠点に大規模なシステム投資のできる企業は限られる。また、海外進出が増えても日本本社の経理担当者が増えることはない。「日本本社の経理はすでにこれまでの業務で手いっぱい。そこに手間のかかる海外拠点の経理も見ろと言うのは不可能です」と春山氏。

 GLASIAOUS開発の背景には、クラウドをベースに、使いやすいインターフェース、求めやすい価格の会計システムを提供しようという狙いがあった。

 オンプレミスなら数百万円から数千万円規模の投資と相応の準備期間が必要だったものが、サブスクリプション形式のクラウドシステムなら月額2万9800円から、最短5日間でスタートできる。そのため、GLASIAOUSのユーザー企業には、初めて海外進出するというような企業もあれば、年商数千億円の大企業もあるという。

 多言語、多通貨、多基準対応、クラウド型などの特徴がもたらすGLASIAOUSの最大のメリットは、「見える化」だ。

 交通費精算を例に取ってみよう。ある交通費の金額が大きいことから本社の経理の目に留まったものの、現地の言葉で書かれているメモの意味が分からない。これまでなら、現地のスタッフやアウトソーシング先の会計事務所に問い合わせて回答を待つ必要があった。また、海外企業を顧客にする日本の会計事務所では、日本の会計ソフトウェアに入力し、本国には会計内容を翻訳した上で報告していたが、本国から質問が出ればそれに答えなければならない――どちらのケースでも、翻訳などの手間や、やりとりする際の時差による時間的ロスを考慮すると、ごく簡単な確認であっても解決まで1週間かかるということも少なくない。

 それが、GLASIAOUSを使っていれば、アカウントをもつ本社の担当者が知りたい箇所を自分でドリルダウンして調べることができる。それでも解決しない場合は、不明箇所をピンポイントで指摘し、メッセージ機能を通じて質問できるため、スムーズなコミュニケーションが可能だ。現地の言語が話せなくても、機械翻訳機能を利用してコミュニケーションできる。往復のやりとりが1回で済めば、日数にして1週間かかっていたような作業が当日できることになる。「コミュニケーションのロスが大幅に削減できるし、効率を悪くしているところを改善できます」(春山氏)。

 会計システムには、欧米の企業が開発して主に英語圏で利用されているもの、そして日本をはじめ各国のベンダーが開発して、それぞれの地域で主流のものなどいくつか選択肢があるが、GLASIAOUSの多言語、多通貨、多基準対応は、国境をまたぐ(クロスボーダー)ニーズに細かく応えるという点で、世界で見てもユニークな製品だという。そこが評価され、日本企業や日本の会計事務所だけではなく、海外の企業に採用される例も増えているそうだ。

チェック機能が働くことで不正・リスク対策に

海外拠点の「見える化」でビジネスを成功に導く――異なる言語や通貨、会計基準に対応するクラウド型国際会計・ERPサービスプロダクト事業本部 公認会計士
松本かほり

 見える化によるメリットは、コミュニケーションだけにとどまらない。鈴木氏、春山氏、松本氏の話からは、リスク管理面のメリットも見えてくる。

 松本氏によると、海外拠点の会計に疑問点があった場合、本社の経理は現地に質問するしかないが、満足のいく回答が得られない状態が続いてくると、現地とのやりとりを「諦める」ようになるという。問い合わせが少なくなると、現地で不正が発生するリスクは当然高くなる。GLASIAOUSを導入することにより本社側がいつでも簡単にチェックできることから、不正防止の抑止力になるという。実際に、海外子会社で不正の疑いがあったことをきっかけとして、GLASIAOUSを導入したケースもあるそうだ。

 鈴木氏は「不正の手前の段階」として、現預金残高の推移を含む最新の財務データを確認できることが資金ショートの防止にもなると説明する。「月末になると現地から運転資金の送金依頼があり、社長自らが現地語交じりの英語で記録された仕訳帳と現預金出納を徹夜で確認して対応していたという声も聞きます。企業にとっては死活問題になりかねませんが、GLASIAOUSにより現地の資金状況がすぐに分かるようになり、本業に集中できるようになったという声をいただいています」と鈴木氏。

 また、GLASIAOUSは会計をコアに、販売や購買にも機能を拡充しており、会計だけでなく営業でも「見える化」のメリットが出ているという。「受注額、在庫など、海外の売り上げ状況がリアルタイムに分かることで、営業がタイムリーに次のアクションを起こすことができます」と春山氏は話す。例えば、ある専門商社では、GLASIAOUSの情報を利用して、海外のどこに何の製品があり、いつ日本のどの倉庫にどのぐらい届くのかという情報がリアルタイムで分かるようになった。これにより、意思決定が早くなり、機会損失対策につながっているという。