転職・離職をカバー――“ジョブホップ”問題にも対応

 GLASIAOUSは、会計業務をアウトソースする初期段階の「GLASIAOUS BPO」、会計事務所と入力作業を分担する成長期の「コソーシング」とステップアップし、自分たちで会計処理をする「現地利用」と、海外拠点の成長に合わせた利用ができる。また、クラウドベースなので、新たな拠点が増えたときにも追加導入は簡単だ。

 GLASIAOUSを支える重要な存在が、2017年8月に設立した「GLASIAOUSコンソーシアム」だ。15のグローバルにビジネス展開をしている会計事務所が参加し、GLASIAOUSが基盤とするクラウド「Microsoft Azure」の日本マイクロソフト、東京海上日動火災保険の2社が賛助企業として名を連ねる。「戦略」と「機能」の2つの定例セッションを通じて市場ニーズの理解や機能開発につなげているというが、もうひとつ、海外固有の問題への対応に役立っているという――ジョブホップ、つまり転職や離職の問題だ。

 海外は日本と比べ人材の流動性がかなり高い。そのため、海外子会社でせっかく優秀な業務担当を見つけることができても、その人が辞めてしまうリスクは常にある。また、産休などで長期の休みをとる可能性もある。「(ジョブホップは)社会構造的な違いなので、辞めてもらわないようにと考えるよりも、人が入れ替わっても大丈夫なように仕組みを整えるというアプローチが有効だと考えます」と春山氏は指摘する。GLASIAOUSならば、新しい担当者を採用したり、休んでいた担当者が復帰したりするまでの間、コンソーシアムのメンバーである会計事務所に業務処理を代行してもらうことができる。「海外現地法人の具体的かつ現実的な事業継続計画(BCP)対策として、評価されています」と鈴木氏は言う。もし新しい業務担当者を採用できれば、会計事務所は通常のレビュー業務に戻る。

 GLASIAOUSは発表から約3年の間、数回のWebインターフェース刷新をはじめ、常に最新のWebアプリケーション技術を取り込み、機能の拡充を図ってきた。例えば、Excelのシートに作成した会計データを、選択してコピー&ペーストするだけでインポートができるなどの操作性の良さは、他の会計システムにない差別化ポイントだ。インターネットインフラが整備されていない地域のことも踏まえ、極力軽く作られているのも特徴だ。今後はAIを使ったOCR(光学文字認識)に対応し、カメラでレシートなどを撮影すると自動で記帳されるといった機能を実現していく予定だという。

 さらにGLASIAOUSの実績が増えていることを受け、ビジネスエンジニアリングは新たな挑戦に乗り出した。GLASIAOUSコンソーシアムのメンバーと共同開発した「海外法人”弱点”診断サービス」の提供だ。現地の経営者に簡単なヒアリングをすることで海外拠点の状態をチェックし、見える化のための助言を行うというものだ。今後も日本企業の海外進出を支えるべく、「定型的な製品とは異なり、サービスは需要が伴えば無限に開発できます。顧客のさまざまなフェーズで発生する課題に、きめ細やかに応えられる有益なサービスを今後も開発していきたい」と鈴木氏は話している。

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