原則として屋内は禁煙になる改正健康増進法が2020年4月1日に全面施行された。しかし、喫煙者であっても、法改正の内容を十分に理解しておらず、「全ての飲食スペースが禁煙になる」などと誤解している人も少なくないようだ。たばこが吸える場所はどこで、吸えない場所はどこなのか。あらためて確認してみよう。
喫煙者にも正しく知られていない
改正健康増進法
そもそも改正健康増進法は、「望まない受動喫煙の防止を図るため、多数の者が利用する施設等の区分に応じ、当該施設等の一定の場所を除き喫煙を禁止するとともに、当該施設等の管理について権原を有する者が講ずべき措置等」について定めたものだ。
同法は2018年7月に成立し、翌19年7月から学校、児童福祉施設や病院、診療所、行政機関の庁舎などの敷地内が既に原則禁煙となっている。つまり20年4月に全面施行される前から段階的に施行されてきたわけだが、現時点でも、法律が改正されたこと自体を知らない人が意外に多いようである。
ネオマーケティングが19年12月、全国の20~59歳の4000人を対象に行ったインターネットリサーチによると、「改正健康増進法をご存じですか」との問いに70.6%が「知らない」と回答。「内容まで知っている」と答えたのは、わずか8.7%だった。
また、改正健康増進法の全面施行によって「喫煙場所が制限されることを知っていましたか」という問いに対しては、現在、たばこを吸っている人でも、半数近い48.5%が「知らなかった」と答えている(上表)。知らない間に改正健康増進法が全面施行され、なじみのレストランやバーが突然禁煙となって、面食らっている愛煙家も多いのではないか。
受動喫煙の原因となるのは、言うまでもなく煙である。迷惑をかけないように、煙の出ない加熱式たばこに替える人も増えているが、その割合はまだ低い。
厚生労働省の「平成30年 国民健康・栄養調査」によると、加熱式たばこを使用している喫煙者(紙巻たばことの併用を含む)の割合は、30~39歳男性で52.1%、同女性では46.2%と半数前後に達しているが、年齢が上がるほど紙巻たばこを好む傾向がうかがえる(上表)。
しかし、後ほど詳しく述べるように、改正健康増進法では加熱式たばこの方が喫煙できる場所の範囲が広いので、今後、紙巻から加熱式にシフトする動きが加速する可能性はある。