社員が在宅勤務せざるを得ない状況に追い込まれる中、多くの経営者や管理職は業務の在り方や労務管理の見直しを迫られ、「どうすれば社員同士の連携を保ちながら、業務を進められるのか」と悩んでいるのではないだろうか? 膨大なメールとチャットで情報量が多くなることによる情報の見落としや認識のすれ違いが円滑なチームワークを阻害し、業務のスピードを鈍らせていることは否めない。これを解決するには、単なる“チャット=会話”ツールの枠を超え、業務に関わる人、データ、コミュニケーションを一元化できるメッセージプラットフォームの活用が有効だ。

 新型コロナウイルスの感染拡大によって、企業はかつてない“変革への挑戦”に迫られている。社員が出社しなくても、今まで通りにビジネスが回る仕組みをいかに早く構築できるか、という挑戦だ。

 しかも、ディスラプション(既存ビジネスの創造的破壊)に象徴されるビジネス環境の急激な変化は、今回の新型コロナ問題によってさらに加速している。むしろ未曾有の危機をバネに新たな革新が生まれ、より手強い競争相手が登場して既存ビジネスを脅かすことになるだろう。それに立ち向かっていくには、リモートでもビジネスが回る体制をつくるだけでは不十分であり、今まで以上に効率よく、高い生産性を維持して業務を遂行できる体制づくりが不可欠だといえる。

 そのための基盤として、今規模を問わず多くの日本企業が注目しているのが「Slack」(スラック)だ。

 Slackでは、チームの仕事もコミュニケーションもプロジェクトごとに設定された「チャンネル」上で行われ、各チームメンバーがどこにいても、同じ空間にいるように会話を交わし、データをやりとりし、ビジネスを前に進めることができる。

仕事に関わる人、データ、コミュニケーションを一元化する

 2017年11月に日本語版がリリースされたSlackは、それ以前から日本でもIT企業やスタートアップを中心に多くの企業が利用していた。そのため、「エンジニアのためのコミュニケーションツール」という印象を持たれがちだが、実は製造業や総合商社、金融企業、信販会社、メディア、教育機関など、幅広い業種で活用されている。今ではユーザー企業の6割以上が非IT企業である。

 さらに注目したいのは、日本におけるSlackのユーザー数である。日間アクティブユーザー数は100万人以上。これは米国に次いで世界2位の規模だ。

「ユーザー数は毎年急速に伸びてきましたが、新型コロナウイルスの感染拡大で多くの企業がリモートワークを実践するようになってから、ますます増加の勢いが加速しました。Slackが、リモートワークを効率化するために有効なプラットフォームであるという認識が深まったからだと思います」

 そう語るのは、Slack Japanの佐々木聖治・日本法人代表である。

佐々木 聖治(ささき せいじ)Slack Japan 日本法人代表
米ワシントン大学にて国際経営学の学士号を取得。米SuccessFactors Inc.日本法人社長、SAP Japan人事人財ソリューション事業統括本部長、米セールスフォース・ドット・コム日本法人エンタープライズビジネス部門の戦略アカウントマネジャーを経て、2018年2月よりSlack Japanのカントリーマネジャーに就任し、日本の事業責任者および代表としてSlack Technology Inc.の地域事業統括及び日本での拡大展開を指揮する。佐々木 聖治(ささき せいじ)Slack Japan 日本法人代表
米ワシントン大学にて国際経営学の学士号を取得。米SuccessFactors Inc.日本法人社長、SAP Japan人事人財ソリューション事業統括本部長、米セールスフォース・ドット・コム日本法人エンタープライズビジネス部門の戦略アカウントマネジャーを経て、2018年2月よりSlack Japanのカントリーマネジャーに就任し、日本の事業責任者および代表としてSlack Technology Inc.の地域事業統括および日本での拡大展開を指揮する。

 世界全体で見ても、Slackへの同時接続ユーザー数は20年3月10日の1000万人超から、2週間後の3月25日には1250万人超に急増。また、2月1日から3月25日の期間で新規の有償顧客を9000件獲得している。ユーザー1人当たりの1日のメッセージ送信数はおよそ20%増加し、Slack上に新たなワークスペース(仕事場)が作成される割合は、実に数百パーセントも上昇した。

「新型コロナ対策としてのリモートワーク推進とともに、世界中でSlackのニーズが急速に高まったことは明らかです。ビジネスチャットやWeb会議のような単なる“会話ツール”ではなく、仕事に関わる人、データ、コミュニケーションなどを全て一元化するメッセージプラットフォームであることが評価されたのでしょう」と佐々木代表は語る。